2026年10月10日放送 20:07 - 20:55 NHK総合

新プロジェクトX
〜挑戦者たち〜シジミが国を動かした 宍道湖を守れ!

出演者
有馬嘉男 大谷舞風 福田正明 中村幹雄 竹下幹夫 
(オープニング)
オープニングトーク

有馬嘉男と大谷舞風が宍道湖にやって来た。宍道湖のシジミは日本の漁獲量全体の半分を占めている。宍道湖が川の水と海水が入り混じる汽水湖で栄養分がたっぷり含まれている。かつてこの汽水は失われる危機があった。

キーワード
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シジミが国を動かした ~“奇跡の湖”宍道湖を守れ~
シジミが国を動かした “奇跡の湖”宍道湖を守れ

母なる湖と呼ばれる宍道湖。海水と淡水が混じり合う汽水は豊かな恵みをもたらした。中でも獲っても獲っても沸いて出てくると言われたのが汽水で育つヤマトシジミだった。1980年代、年間30億円を叩きだす日本一の産地になっていた。シジミ漁の名人・井原信夫は250人の漁師を束ねる組合長だった。井原は船でカゴを引きながらシジミを獲る技術を編み出し、仲間に惜しげもなく教えた。この頃、井原は宍道湖の宝、シジミがもうすぐ獲れなくなるという大きな悩みを抱えていた。1960年代、増え続ける人口に対応するため国は食料増産を推し進めた。全国各地で農地と水を確保するため、干拓、淡水化事業が進められ宍道湖にも白羽の矢が立った。宍道湖の隣の中海の一部を干拓。北側に水門を作り海水の流入を止めて2つの湖を淡水化し、農業用水を確保する計画だった。淡水化すればシジミは死滅してしまう。県は、漁協に対し補償金の支払いとシジミに変わる漁を用意することを条件に淡水化を迫った。漁師たちは悩み抜いた末に同意し補償金を受け取った。1974年に中浦水門が完成した。手続きが進めばボタン1つで水門は降ろされる。そのとき井原たちは淡水化された霞ヶ浦でアオコが大量発生し腐敗臭が街を覆うニュースを見て絶句。井原は漁師たちを集め反対することを決めた。この頃、井原のもとに1人の男が訪ねてきた。それは淡水化を推進する県の研究員・中村幹雄だった。中村は井原にシジミにかわる宝・ホンモロコがあると言った。ホンモロコは料亭などに出される高級淡水魚。井原は宍道湖のシジミを研究者の目で見てくれと言った。中村はシジミを調べシジミが宍道湖の水質を守っていたことを知った。中村は県職員でありながら宍道湖にはシジミが欠かせないと訴えた。しかし国は専門家による報告書を公表し県に水門閉鎖への同意を迫った。同時に中村には隠岐への移動が命じられた。その頃市民の間でも淡水化への疑問の声が上がり始めていた。400人が集まったハゼ釣り大会。主催したのは県職員の竹下幹夫だった。竹下は友人や知人から市民の味がなくなってしまうのを何とか止められないかと相談されていた。竹下は市民団体の代表として自分の職場である県の担当部署に問いただしていた。井原は竹下に一緒に宍道湖を守らないかと言ったが、竹下は首を縦に降らなかった。引っかかったのは漁師が補償金をもらったことだった。

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スタジオトーク

県の研究員がなぜ反対の立場で報告書を書いたかについて中村幹雄は「シジミを守らないといけない。そこで生活している漁師さんなり、木こりさんなり、そういう人の意見を聞く。研究員としては守っていく」などと話した。反対する強さや不安は?という質問に竹下幹夫は「県職員であっても家に帰れば1人の市民。1人の市民の立ち返ればまずい事業はまずいと言わないといけない。私はそう思っている」などと話した。

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シジミ宍道湖
シジミが国を動かした “奇跡の湖”宍道湖を守れ

ある晩、1人の男が井原を訪ね「かつて受け取った補償金を国に返したらどうでしょうか?」と話した。それが宍道湖で3代続く漁師の家に生まれた福田正明だった。組合が受け取った補償金は2億5000万円。漁師1人あたり100万円出す必要がある。補償金を受け取ったのは17年前。新たに漁師になり受け取ってない者をいる。数日後、井原はほかの漁師と共に琵琶湖を訪れ世界湖沼会議に参加。1人の女性の発表に注目が集まった。茨城県からやって来た奥井登美子は緑色の液体をビーカーに入れて持ち込んでいた。奥井は参加者にその臭いを嗅がせて回った。液体の正体は霞ヶ浦で大発生したアイコだった。奥井はほかの湖が同じ轍を踏まないでほしいと会議に駆けつけた。2週間後、井原はシジミ漁師を漁協に集め、霞ヶ浦の二の舞になってはいけないと訴えた。全員が補償金を返すことに賛同。1ヶ月後、井原は2億5000万円の小切手を持ち、農水省の門を叩いた。しかし農水省の課長に拒否されてしまった。だが井原たちの行動は地元の人たちの心を動かし始めていた。漁師に不信感を抱いていた県職員の竹下は、補償金返還を提案した福田を行きつけの居酒屋に誘った。ここで初めて腹を割って話した。こうしてバラバラだった漁師と市民が1つになった。

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スタジオトーク

農水省での門前払いについて「これは真剣に反対するという意思表示。本気だぞという宣戦布告ですよ。漁師は毎朝、シジミや魚を獲り、宍道湖の状況を判断する。いわば健康診断を毎日するのが漁師だと。この水の万人が本気にならないと誰もついてこないし考えて欲しい。こんな話をした。」などと話した。

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シジミが国を動かした “奇跡の湖”宍道湖を守れ

漁師と市民は一丸となって動き出した。朝獲ったばかりのシジミ10トン分を東京に運び、道行く人に配った。県職員の竹下、井原、福田は国への陳情を重ねた。大蔵省の幹部と面会したとき、説明を聞き終えた幹部は「島根県議会の自民党の考えはどうなんですか?」と言った。国が耳を傾けるのは地元で多数派を傾ける自民党の声だった。福田は県議会に自民党から出馬し中から軌道修正をしていこうと決めた。自民党の公認は得られず無所属で出馬。決起集会で福田は宍道湖の水を配った。そして見事上位で当選を果たし自民党に招き入れられた。福田はすぐに大物議員の鯨岡兵輔を宍道湖に呼び、シジミ漁の現場を見てもらい、これが失われると伝えた。半年後、農水大臣との面会にこぎつけた。しかし国は淡水化の実行に向けて次の一手を打った。完全には遮断しないとはしながらも10門のうち9門を下ろすと宣言した。竹下幹夫は住民の直接請求権に目をつけた。井原はすぐに動き出した。連日、仲間の漁師を集め、街頭に立って署名を集めた。霞ヶ浦から奥井も駆けつけ自らの経験を語って聞かせた。当初は関心の薄かった市民の中にも署名を集める人が現れ始めた。2ヶ月間で集まった署名は13万5000。リコールに必要な数をゆうに超えた。翌月、1万人の市民が宍道湖を取り囲み反対を訴えた。そして淡水化計画は延期となった。2002年、国は淡水化事業の中止を決定。水門は一度も閉鎖されることなく解体された。

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スタジオトーク

竹下幹夫は「まさかとおもったことが本当にできた。すごく嬉しかった」などと話した。福田正明は「市民と漁師と研究者。このひとたちのとてつもないエネルギーが宍道湖を愛する人たちに伝わった。努力に敬意を表したい」などと話した。

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シジミが国を動かした “奇跡の湖”宍道湖を守れ

2005年、宍道湖はラムサール条約に登録された。豊かな生生態系を維持する湖として、世界から高く評価されている。中村幹雄はその後、県を早期退職し日本シジミ研究所を開設。霞ヶ浦の奥井登美子さんは93歳になった今も自作の絵本で子どもたちに故郷を守る大切さを教えている。井原の孫・志樹さんは若手漁師の先頭に立ちシジミ組合の副会長を務めている。

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(エンディング)
次回予告

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