新美の巨人たち 新美の巨人たち
肌の滑らかなカーブが柔らかな印象となり、シンプルな外観には各階によって形のことなる窓が。これはフロアごとに全く用途が違うためだという。半円アーチを用いた堂々たる玄関に、レリーフには学士会館の文字を囲むように英知を表すオリーブが。玄関の横には、東京大学発祥の地の石碑がある。明治10年には東京開成学校と東京医学校が合併して東京大学が創立。ここは日本初の大学が誕生した場所でもあった。その内観を紹介。扉には竣工当時そのままの美しい真鍮製のドアノブ、ベージュのタイルの床に、赤い絨毯が敷かれた空間は華やかにしてクラシカル。アカデミックでとりわけ目をひくのが、12角形の柱。この石柱は、20世紀初頭のオーストラリアのウィーンの建築界を中心に流行したセセッション様式の影響を受けている。設計は高橋貞太郎。後に川奈ホテルや、帝国ホテル東京本館などを手掛けるホテル建築のスペシャリスト。学士会館は高橋の初期の傑作。