世界アニマル&キッズ動画スペシャル (世界アニマル&キッズ動画スペシャル)
ハチの飼い主、上野英三郎は東京帝国大学農学部の教授で、農業土木を近代化に導いた第一人者。田んぼの区画整理を行い用水路を普及させ、米の生産を安定化した。上野教授は西洋犬を飼う愛犬家として知られていた。上野教授には秋田犬を立派な成犬に育てたいという思いがあった。関東大震災の翌年、教え子から生後2カ月の秋田犬を列車で送ってもらったが、子犬は衰弱しきっていた。当時、日本に動物病院はなく、自分の布団に寝かせ看病した。病弱だったハチは大事に育てられた。ハチと出会って半年ほど経つと、仕事帰りの上野教授を渋谷駅まで迎えに行くのがハチの日課になっていた。そんなある日、上野教授は脳出血で急死した。ハチと出会って1年4カ月後のことだった。内縁の妻だった八重子夫人は遺産を相続できず、自宅も人手に渡った。そのため、ハチは親戚に預けられたが、親戚は犬の扱いがわからなかった。親戚の家を転々としたハチだった。上野教授の死去から2年後、八重子夫人は生活が落ち着きハチを呼び戻した。