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歓喜から5か月たった今の競技に対する思いについて、北口榛花選手は「五輪の金メダルを取ったら“競技者として満足するのかな”とか“燃え尽きるのかな”ってすごく感じていたけど、そんなこと全然なく、むしろ“もっと投げないと”と思いました。」と語った。五輪で満足することはなかった北口選手は、そのおよそ1か月後、“世界最高峰の大会”ダイヤモンドリーグファイナルで連覇を成し遂げた。そして去年10月、地元の北海道・旭川市で行われたパレードでは、およそ4万8000人が詰めかけ、まさに“北口フィーバー”に。シーズンが終わり、様々な授賞式やイベントにも出席した。トップを走り続ける北口選手を突き動かしていたのは、パリで感じた2つの感情だという。北口選手は「パリ五輪で勝つことは目標にしていたので、すごくうれしかった反面、記録があんまり良くなくて。そこでは悔しさも感じていて、金メダルとしては過去の大会から調べるとワースト最低記録。それを言われると腹が立つ。そういうモヤモヤも今後晴らしたい。」などと語った。“喜び”と“悔しさ”を感じたパリ五輪の舞台は、北口選手にはどのように映っていたのか。北口選手は「自分自身も今まで『6投目の北口』という言葉を作っていただいて、“6投目に必ず逆転する”ところがフォーカスされていたので。」と語った。6回の投てきで最も良い記録を競う“やり投げ”で、これまで何度も最終の6投目で真価を発揮してきた北口選手は「6投目の北口」と呼ばれ、自己ベストの記録(67m38)も6投目にマークした。パリ五輪の決勝では、1投目からシーズンベストとなる65m80をマーク。目標としているアジア記録(67m98)の更新も期待される好記録だった。しかし、最終の6投目、1投目の記録を上回ることはできなかった。北口選手は「1から6投目までの修正力も自分の中では武器の一つだった。“6投目ですごい記録を投げられるかな”と思っていた自分もいたので、それができなかったのは残念」と語った。日本女子陸上フィールド競技史上初となる偉業を成し遂げた北口選手は、その歓喜と同時に新たな発見があったという。北口選手は「今までずっと“一番になりたい”という思いでやってきて、一番うれしい瞬間は“できないことができるようになる”こと。今まで投げられなかった記録を投げられるようになった瞬間が一番うれしい。今シーズン自己記録を更新できなかったこともあって、すごく感じました。喜び“6”、悔しさ“4”くらいで次に向けて動き始めている。悔しさを燃料にしてトレーニングに励んでいます。」などと語った。北口選手が語る近くの目標は、34年ぶりに東京で開催される世界選手権での歓喜。