時論公論 (時論公論)
日中韓3か国の首脳会議が4年半ぶりに開かれ、岸田総理大臣、李強首相、ユン・ソンニョル大統領が出席した。採択された共同宣言では人的交流の促進、自由貿易協定の交渉加速に向けた協議継続、朝鮮半島の平和、安定が共通利益だと確認した。会議当日、北朝鮮は失敗に終わったものの、軍事偵察衛星の打ち上げを強行した。前回の首脳会議はコロナ禍前で、日韓関係は徴用をめぐる問題で悪化していた。中国に目を向けると、アメリカは半導体の輸出規制、中国製EVの関税を引き上げた上、不動産市場の低迷、消費の伸び悩みなど中国国内の経済状況は芳しくない。今後、中国への投資が増えるかは不透明。
日本は中国とも首脳会談を行い、戦略的互恵関係の推進を確認した上で、両国間の個別の懸案が話し合われた。岸田総理は台湾海峡の平和と安定の重要性、中国に拘束されている邦人の早期解放などを求めた。一方、中国は日本との経済関係に期待感を示すも、反スパイ法といった統制強化は外国企業の投資意欲低下につながっている。福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、李強首相は「核汚染水」と表現した。中国が日中、日中韓の協力関係にどのようなメリットを見出すのか、先行きは楽観できない。