ブレイクスルー (ブレイクスルー)
相場が訪れたのは栃木県足利市にあるエアロエッジ、エアバスA320neoなどの最新エンジンの中でも重要な部品、タービンブレードを製造している。チタンアルミを暑さ1ミリまで削る技術は他の企業でもマネできない。大手フランス企業のサフラン社から部品メーカーの最高位に選出されるほどの技術力。社長の森西淳さんの生い立ちは、元不良少年だったが、ドラッグストア・カウボーイという映画が印象に残り、栃木県にある菊地歯車に就職した。菊地歯車に勤務している先輩の中川原聖規さんは、森西さんの印象を熱意をもって働いていたと話す。
中川原さんが驚いたのは、森西さんが働き始めて2年たった頃に第2工場の再建計画書を出してきたという。森西さんは製造業の衰退への懸念から、ものづくりから営業への異動を直訴した。2011年に行われたパリエアショーでは森西さんの姿があり、当時営業をかけていたのはフランスのサフラン社幹部だった。当時エアバスA320neoとボーイング737MAXの生産が控えており、新型エンジンに使われるタービンブレードの受注を狙っていた。交渉が決まれば今後30年は続く長期事業になる。契約を取り付けたが菊地歯車が量産を断念。そこで森西さんは仲間とともに2015年にエアロエッジを起業。サフラン社との契約を引き継ぎ大量生産を成し遂げた。2023年には東証グロース市場に上場。しかしエアロエッジの課題は売り上げの約9割をタービンブレードに依存していること。そして森西さんは新たな事業に乗り出していた。