世界熱中ひとり旅 滝藤賢一が行く 南アフリカ 珍奇植物紀行
日本から飛行機を乗り継いで20時間。滝藤が降り立ったのは、南アフリカの港町のポートエリザベス。多民族国家の南アフリカは、多様な人種とがともに暮らしている。滝藤は600鉢以上も保有する珍奇植物マニア。南アフリカが原産の植物の所有している。自生している本来の姿を見ることで植物からなにか学べるのでは?というのが今回の旅の目的。今回目指すのは大きく3箇所で、ポートエリザベスを拠点に緑が広がる東ケープ州をまわる。その後は喜望峰で有名な西ケープ州へ。ここでは自然災害を逆手に取って自生した独特な植物があるという。最後は砂漠の広がるエリアのナマクアランドで先住民と植物との関わりを体感する。旅をした7月には南半球は冬。自生地では、一体どのように植物が生えているのか?早速ガイドを訪ねた。デトレフ・シュナベルさんは、東ケープの植物の生態を調べている。早速デトレフさんがおすすめの自生地へ連れて行ってくれることに。ユーホルビア ゴルゴニスを大きな茎とウネウネと生えているのが特徴でマニアにはたまらない一品。滝藤は地面を探したがなかなか見つからず。園芸店と自生している場合とでは姿が違う。その姿に大興奮した。直射日光に当たりにくい場所で生きていた。
ハオルチア クーペリーは珍奇植物の代表格で、葉の先端に光が入り輝く。滝藤は地面に埋まっていたハオルチア クーペリーを発見した。ゴルゴニスよりもさらに深く地面に埋まっていた。地表に出すのは最低限の窓の部分のみ。自生地の植物が過酷な環境で生きるすべを身につけている。その後もエンセファラルトス ホリダス、プレイオスピロス ボルシー、極楽鳥花を発見した。
西ケープにやってきたが、その植物園に立ち寄ることに。植物愛好家のアンドリューさんに連れられやってきたのはカーステンボッシュ国立植物園。西アフリカで最も古いカーステンボッシュ国立植物園で自生しているかのような姿が見ることができる。ランプランタス アモエヌスは種さやに水をかけると開くがほとんど雨の降らない西ケープ。貴重な雨が降るまでにじっと種を守り続けている。さらに面白いという植物にはペラルゴニウム キャピタータム。この種子に水をかけると、雨が降った時に種を地面に落として発芽する仕組みで、回転させて地面に潜る特性があるがこうした珍奇植物の多くは生態は謎のまま。
フィンボスは低木が密集したエリアで6000の固有種がいるという。フィンボスの特徴は定期的に起こる山火事。油分を含んだ木が密集しているために落雷などにより山火事が発生する。これがフィンボスの多様な特製の鍵となる。フィンボスでは木が密集しているために種や球根が発芽しても普段は日が当たらず成長できない。しかし山火事が起きると地面に広大なスペースができる。それにより地表に出た目に光が届き大きく成長できる。こうして火災の度に様々な植物が生え変わり6000種の固有種が育まれた。そしてアンドリューさん親子には10年以上研究している植物がある。オキザリス属の植物は道端などに生えて雑草として扱われる。アンドリュー親子は南アフリカ各地でオキザリスの種や苗を集め数千鉢を育てている。
アンドリューさんの息子は幼い頃から自然で遊ぶ好きだったという。山の中で偶然見つけたオキザリスの新種を発見し、アンドリューさんと一緒に正式に新種として登録するための準備をしている。次にナマクアランドのスプリングボックに訪れた滝藤。宿のオーナーに話を聞いた。ナマクアランドは珍奇植物の宝庫で、3500種もの珍しい植物が自生している。中でもパキポディウム ナマクアナムは、通称ハーフマンと呼ばれている。半分人間と呼ばれ、言い伝えによると争いによりナミビアから南アフリカ共和国に逃げてきた人が、故郷である北を向いた時に植物の姿に変えられてしまった。 ナマクアランドの植物を知り尽くしているカレルさんが、特に植物の種類が多い場所へ案内してくれた。この場所の降水量は年間120ミリ程度。足元には緑と白のアルギロデルマというカラフルな植物が生えていた。
他にも、いたる所にここにしかない固有種が自生している。雨がふらない場所でこんなにも植物が育つのか?その理由は石英というガラスの原料にもなる鉱物でここの植物が生きるために必要だという。太陽光を反射すると土よりも冷たくなる鉱物。気温が40度にもなる中で植物たちが守られているという。降水量が限りなくない中で、水を得る方法には風に流されナマクアランド一体に海水が運ばれるという。この霧から僅かな水分を得るために産毛やうねりを持ってこの環境に適用できるよう進化してきたという。
滝藤が帰りに見つけたのは開発の光景。採掘がされてしまえばこの自生した植物もなくなってしまうという。またカレルさんは深刻だというのが開発盗掘のあと。リトープス マルモラータはかつてここにたくさん生えていたが盗掘で激減している。カレルさんは実は警察官で、普段は盗掘対策の指揮をとっており検挙も行う。2021年には130人を逮捕したが500万の植物が盗まれたが、世界的な植物ブームが自生地に深刻な問題をもたらしている。
旅も終盤。訪れた村はナマ族が住んでいるという。街の宿で聞いたパキポディウム ナマクアナムの伝説を知るという先住民のアナさんに話を聞いた。ナマ族は争いの末に国境の向こうから逃げてきたが、部族同士の争いで一部が南アフリカに逃れた。パキポディウム ナマクアナムとは故郷を振り向いてしまった人のこと。信じる心を持っておらず神様に咎められ植物にされてしまった姿。アナさんはこの話を信じており尊敬しているという。そのハーフマンの自生地へ。一日を通して長い時間太陽光を浴びやすくするために北を向いているがなナマ族の故郷のナミビアを向いている。夏は45度で台風のような風が吹く。数日しか雨がふらない環境を乗り越えてきたという。
滝藤はハーフマンの生命力に驚き、石英たちがこの植物を助けている事を学んだ。滝藤は今日の総括に、植物の色々な生態になぜだろう?と疑問を抱いていたが生きたいという思いが伝わったと答えた。