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先月、ミャンマーとの国境に接するタイ・メーソートでライブが開かれ、ミャンマー人の歌手で作曲家のネイ・ローンさんが歌っていた。観客の多くは戦闘が続くミャンマーを逃れ、タイに避難している人たち。クーデターによる混乱で苦しむ人たちのことを歌った歌が心に響くという。ネイ・ローンさんはかつてはミャンマーの最大都市ヤンゴンで歌手として活動しながら恋愛ソングなどを作曲し、多くのアーティストに提供してきたが、2021年のクーデターで人生が変わった。軍による弾圧で多くの民間人の命が奪われた。当時、軍に反対する意思を示すためデモに参加。ネイ・ローンさんは所有していた自宅や音楽スタジオなどほぼ全ての財産を投げ売って民主派の武装組織に参加し、約3年間戦った。ネイ・ローンさんは1年半前、兵士を辞めてタイに逃れる決断をした。歌を生み出すことで寄付金を募り、民主派を手助けしようと考えた。かつて恋愛ソングだった歌は全てクーデター後に自分や仲間たちが実際に経験したことに変わった。歌はYouTubeなどで公開され、100万回以上再生されたものも多くある。コメント欄には歌に共感したミャンマー人などから祖国の民主化を願う声が多く寄せられている。欧米などに住むミャンマー人にも拡散され、これまでに約900万円の寄付が寄せられた。ネイ・ローンさんは音楽で得たお金を全て支援に使っている。ミャンマー国内にある民主派の拠点に国境を越えて密かに運ぶため、深夜2時から炊き出しを行っていた。避難生活を余儀なくされた人たちのために服などを購入し、避難民キャンプなどに届けている。さらに今、戦闘で負傷した人たちのもとを頻繁に訪れている。傷を負った人たちにせめて歌を届けたいと考えている。今もミャンマーの民主化を願って命をかけている人たちがいることを歌で伝えていきたいと考えている。ネイ・ローンさんは「音楽の力は銃に勝る。国を変えることもできるはず。誰もが調和し支え合うミャンマーを夢見ている」と話した。