ザ・ノンフィクション 酒と涙と女たちの歌 3塙山キャバレー物語 突然の別れ 後編
茨城県日立市の「塙山キャバレー」は居酒屋は全て戦後間もなくを彷彿させるトタン張り。2024年9月に行われたはなやま祭り以降、客足が途絶え立ちとなっていた。物価高の影響を受けていた。経理を担当するみきのママであるがわかりやすい目安として水道代をあげた。去年は5つの共有トイレ全体で25万円ほどだったが12万ほどで少ないということは客が少ない状態となっており、この先塙山キャバレー伝統の安くて豪華なお通しも続けられるかどうかという状態だった。京子ママも何十年もやってきたけどこんなの初めてと話した。
輪をかけて深刻なのがあかね雲のママ、大腿骨の手術で1ヵ月休んでそれからもずっと痛い状態だが店に立ち続けている。さらに、店の契約更新も忘れていた状態だった。店もガラガラの状態でママはこのままやっていけるかどうかと悩んでいると明かした。塙山キャバレーが残る意味は世間の物差しで測れない人たちを受け入れるものかもしれない。ふじに訪れていたさゆりさん、妻に子どもいるおじいちゃんで女装が本来の自分であるということは妻には明かしているなど話した。今は他の家族にも明かす覚悟はあるがそれまでは妻以外には隠していたが、単身赴任で日立へ訪れ、塙山キャバレーでより自分を開放するできるようになったという。妻が一番の理解者で今でもさゆりさん姿で一緒にデートをしたりしている。
最近土曜日のみにお店を開く酔ったのママはこの日ふじに姿を表していた。最近すこしうつの症状に悩まされているという。30年前大工だった夫は騙され1億円の借金を背負い、迷惑をかけないように離婚し行方をくらました。酔ったママは生きる糧を求めて塙山キャバレーに店を開いた。常連客は酔ったママを母のように慕っていた。ヒロさんと栄樹さんが子ども的存在。そしてもうひとりの常連客の男性は毎日やってくると5000円払う客でこの人こそ酔ったママの元夫だった。借金を完済して戻ってきたという。籍は入れなくても楽しく過ごすことができると再婚はしていないという。しかし、2022年に静雄さんにがんが発見される。
それから9ヶ月後ママの誕生日を祝った日、静雄さんの姿があった。大工の仕事を復帰したと話していたがその5ヶ月後脚立から落ちて、救急搬送され外傷性くも膜下出血で4ヶ月の間生死をさまよった。2024年10月下旬、久しぶりに店を尋ねると静雄さんの姿があったが耳が聞こえ6、7割ほど聞こえないなどの障害がでていたという。その不安から酔ったママにもうつの症状が出るようになってしまったという。そして久しぶりに土曜日以外にお店を開くようになり栄樹さんの姿があった。酔ったママは常連客について店の中でできた家族と話した。