イット! トクホウ
都内にある巨大病院の引っ越し作業。その舞台となったのはJR中央線の阿佐ヶ谷駅近くで97年地域医療を支えた河北総合病院。病床数は350を誇る。今回その大部分の機能を100メートルほど離れた土地に移転するという。入院中の患者については症状に応じてそれぞれ車いすやストレッチャーなどに乗せて職員が運ぶ。引っ越しの準備は新病院が完成する前から綿密に進められていた。5月下旬には2回目の引っ越しリハーサルが行われた。車いすなどが通りにくい場所がいくつか存在していたという。エレベーターで渋滞が発生することもあった。7月の暑さなどに不安を覚える声もでていた。当日は救急以外の外来診療を停止する体制を敷くことになった。この病院では雨漏りなどの老朽化が目立っていたという。各地の病院で老朽化や建て替えの問題が次々と浮上している。厚労省のデータをもとに算出すると、都内の25パーセントが築40年以上の病院とのこと。建築資材の高騰などで建て替えハードルは上がっている。医薬品の高騰なども病院経営をひっ迫している。去年廃業や倒産をした医療機関は2000年以降最も多くなった。先月新病院が完成した。引越し当日は東京都心の最高気温は33.5度だった。最初に現れたのはストレッチャーにのった患者。4人のスタッフが移送を担当。屋外には日よけが設置されていた。無事に新病院に到着した。到着するまで10分もかからなかった。1日で送り届けを8回繰り返すという。移送の段階になり、血中酸素が低下する患者もいた。旧病院での待機を判断した。酸素の数値が回復した後に引っ越しをすることができた。肺炎で入院中だった患者は引っ越し前日に心不全を併発した。症状の悪化を防ぐため、救急車での搬送に切り替えた。新病院までは100メートルほどだが、医療機器などが引っ越しを困難にさせていたが、無事に引っ越しが完了した。この日引っ越しを済ませた患者は182人。多くの人が旧病院からの進化に驚きの声を上げていた。新病院のエントランスには全体のスケジュールを把握しながら各チームに移送の指示を出す本部班が待機していた。他の病院の紹介状を持って現れた診察希望の患者もいた。すぐに救急外来で対応することにした。出産間近の女性もいたが、引っ越しから2日後に無事誕生した。