王様のブランチ (BOOKコーナー)
小説「どうせ世界は終わるけど」の舞台は小惑星の衝突で100年後に人類滅亡の危機が訪れる世界で、人々がその事実を受け止めてどう生きるかそれぞれの視点で描いた連作短編集。今回はその中の「友よ逃げるぞどこまでも」を紹介。主人公の私は生涯連れ添うと決めたパートナーから突然別れを告げられ、全てが嫌になって仕事を辞めて放浪の旅に出ることに決めた。その後ある無人島にたどり着いてからはそこでひとり暮らしをしていた。ある日無人島に永瀬北斗という男が訪れた。永瀬北斗は6年前に東京で無札別殺人を起こした犯人に家族を殺され、殴り殺してその後の犯行を食い止めたが、正当防衛が認められずに刑務所に収監されていたが国民的英雄として崇められていた。永瀬は刑期満了の1日前に刑務所から脱走し、未だに逃亡生活を続けていた。主人公の私は逃亡犯の永瀬だと気が付かないフリをして一緒に暮らし、いつしか友情を感じるようになった。しかしある日自分が永瀬であると告白し、島を出ていくと告げられる。