- 出演者
- 岩渕梢
解説委員・土屋敏之の解説。プラスチックごみによる環境汚染などを防ぐ初めての条約を作る国際会議が今月1日までの会期で開かれていたが、各国の意見がまとまらず合意できないまま閉幕という異例の結果になった。プラスチック汚染防止条約(仮)への動き。2019年6月、G20大阪「2050年までに海洋プラの追加的な汚染ゼロに」。2022年3月、国連環境総会ではプラスチック汚染を終わらせるために法的拘束力のある国際文書を作ること、2024年末までに政府間交渉完了をめざすことが決議された。これまで5回交渉が行われたが、最終回となる今回の韓国でも合意に至らなかった(他ウルグアイ、フランス、ケニア、カナダ)。世界の年間プラスチック生産量は1950年200万トン→2019年4億6000万トン。環境への流出も年間2200万トン(2019年)に急増。2016年の世界経済フォーラムによると、「2050年には海のプラごみが魚の総量を超える」という。プラスチックは自然分解せず、マイクロプラスチックとなって大気中や海に拡散される。結果、すでに各国の水道水や大気、血液など体内からもマイクロプラが検出されている。去年、国連環境計画が出した報告書では、含まれる多くの化学物質に発がん性など健康リスクが指摘されている。“プラスチック汚染防止条約”第5回交渉(11月25日〜12月1日、韓国・プサン)での議論について。プラごみが環境に出ないよう回収することや、リサイクルなど廃棄物管理については、ある程度議論が進展。しかし、途上国を支援する資金については意見に隔たりがあり合意に至らず。生産の規制では特に大きな意見対立があった。日本などは一律の生産削減は反対。政府間交渉委員会・バジャス議長は「効果的に対処するためにはさらなる時間が必要だ」と表明し、来年あらためて交渉することになったが、実効性のある条約ができるかは不透明。OECDの報告書(10月)では、2040年までにプラ汚染を終わらせるには全ての国が廃棄物管理+生産、使用の厳格な規制をする必要があるとしている。日本のひとりあたりの容器包装プラごみの排出量は、米国に次いで2位との報告もある。取り組みとして、プラスチック資源循環促進法(2022年〜)が制定。自治体、事業者への努力義務を紹介。大手外食チェーンなどでは生分解性プラスチック(環境中の微生物により分解される)に切り替える動きも。プラスチック規制はライフスタイルにも影響し、代替素材は新技術、産業のきっかけになることも期待される。
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