- 出演者
- 岩渕梢
解説委員・梶原崇幹の解説。台湾海峡を海上自衛隊の護衛艦が通過するのは去年9月に続いて2回だけ。中国が台湾問題を核心的利益と位置付ける中で、台湾海峡は中国とアメリカの間で偶発的な軍事衝突が懸念される海域。日本政府は公式には発表していないが、政府関係者によると、海上自衛隊護衛艦「あきづき」が2月上旬、台湾海峡を北から南に向けて通過したという。「あきづき」は2月5日に南シナ海でアメリカ、オーストラリア、フィリピンとの共同訓練を行っていて、海峡通過は訓練海域に向かう途中だったとみられる。安全保障上の高度な判断が求められるため、最終的に石破首相が決断したものとみられる。通過は2月8日の日米首脳会談の数日前に行われたが、背景にはアメリカへのメッセージがある。日米首脳会談の調整の過程で、アメリカ側から台湾問題をめぐって、共同声明でより踏み込んだ表現をしたいという意向があった。石破政権に対して、中国と関係改善の動きに批判的な見方もあり、台湾問題で姿勢を示しておく必要があった。少なくとも日米首脳会談に同席した、ヘグゼス国防長官、ウォルツ大統領補佐官は知っていたものとみられる。中国の「サラミ戦術」(少しずつ既成事実を重ねて、現状変更を行う)へ対抗するねらいもあり、力による現状変更を認めない日本の意志を示す意味合いもあったとみられる。
3月初め、通過について日本メディアが報じると、中国外務省・林剣報道官が「中国の主権と安全を挑発し脅かすいかなる国にも断固として反対する」と述べた一方で、「台湾海峡の関連海域における各国の航行の権利を尊重する」とも述べた。この抑制された反応は政府関係者によると、「今回は日中関係の影響は抑えられる」という読みがあったという。政府内では1回目の通過以降も各国の艦艇の通過と中国の反応を検証を続けていて、航行の自由を掲げ通過を公表するような場合には、台湾問題への政治的な意図があるとみて中国は強く反発。一方、航行の自由とせず、公表しないような通過は一定程度認めている可能性が強まった。日本は中国に一定程度の配慮を示した形。中国は“台湾海域全域において、主権、主権的権利、管轄権を持つ”と主張。しかし、国連海洋法条約では沿岸の基線から12カイリ(約22km)以内を領海と定め、沿岸国の主権のもとに置かれるとされている。台湾海峡は領海を除いても十分な海域が残り、どこの国の主権にも属さない海域があり、そこでは航行の自由が認められると解されている。中国は国連海域法条約の規定に配慮せざるを得なかったという見方もある。中国の現状変更の試みを押し返しつつ、対話を通じた安定的な日中関係につなげる必要がある。近く、日本で行われる予定の日中韓外相にあわせ、日中首脳会談も調整される。日本の意見を率直に伝え、対立があっても対話を続けていくことがもとめられる。
次回のみみより!解説の予告。
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