2023年11月15日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
“職場の死”をなくすには 過労死防止法10年

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
職場の死をなくすには 働き方改革の“ひずみ”

きのう行われた宝塚歌劇団の会見。亡くなった劇団員に長時間の業務などで強い心理的負荷がかかっていた可能性がある。進められてきた働き方改革で労働時間は減少した一方、心を病む人が増え続けている。

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宝塚歌劇団
オープニング

オープニング映像。

職場の死をなくすには~働き方改革の“ひずみ”~
NHK記者の過労死 遺族と同僚の10年

佐戸未和記者の両親、娘を亡くして10年。労災で亡くなった人たちを慰霊する施設に未和さんの遺品などを納めることにした。佐戸未和記者は都議選・参院選が続いた2013年の夏、投票日の3日後、31歳で亡くなった。亡くなる前の1カ月間の時間外労働は過労死ラインを大幅に上回る159時間で過労死と認定された。家族は写真と遺髪を持ち歩いてきた。母親の恵美子さんはこれまで自らを攻め続けてきた。弱音を漏らした未和さんを励まそうとしたとき、必死に頑張れ、死物狂いで頑張ったらと言ってしまったことを後悔している。佐戸記者の2年先輩である中村雄一郎記者は、働き過ぎの状態に気づかず助けられなかった、アドバイスしたことが追い込んでしまったのではないかと考えてしまうという。中村記者は過労死でもう仲間を失うことがないように佐戸記者のことを後輩たちに伝えなければならないと考えている。佐戸記者の先輩だった牧本真由美記者は当時の働き方に疑問を持てなかったことを悔いてきた。佐戸記者と将来の話しをお互いにしてきたという牧本記者は奪われたものの大きさを感じてきたという。

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佐戸未和八王子(東京)日本放送協会高尾みころも霊堂
過労死と働き方改革 残された課題は

佐戸記者の過労死の公表後、NHKは長時間労働を抑制するために労働時間に一定の制限を設け、宿泊勤務の負担を軽減するなどの取り組みを行ってきた。しかし、4年前に管理職の記者が亡くなり再び過労死が認定された。働き方改革の10年を振り返る。過労死防止法が成立したのが2014年、2018年に働き方改革関連法が成立し、長時間労働が抑制されてきた。月あたりの平均労働時間は約6時間減少した。一方で、精神障害の労災認定件数が増え続け、10年前の1.6倍になっている。

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佐戸未和日本放送協会
働き方改革の“ひずみ” 追い詰められる人たち

全国の精神科には仕事が原因で心の不調を訴える人が相次いでいる。大手食品メーカーで働く30代男性は今年9月に労災認定を受けた。上司から残業時間の削減を言われた結果、業務が過密になり無理な働き方になったという。男性の会社は働き方改革の中で長時間労働の抑制に取り組んできた。男性は80時間までとされていきた残業を60時間まで削減されるよう指示されたが、業務量は減らず負担は増加いた。休憩や仮眠の時間を削らなけらばならず、命の危険を感じるようになったという。会社に改善を訴えたが、孤立感を深めていった。男性は去年、適用障害となり休職、その後うつ病と診断された。

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うつ病愛知県東京都栃木県適用障害

大手電機メーカーで勤務していた40代の男性は4年前に自ら命をたった。男性は家族との時間を何より大切にしていた。週末には子どものサッカーの試合を観戦、子どもたちの成長を楽しみに見守っていた。男性は亡くなる半年前に昇進し部署を異動し、部下が1人から20人以上に増えた。管理業務が増え、連日会議に追われていた。一方で会社は長時間労働を抑制するために、午後8時間までに退社するように社員に指示。男性は就業時間内で仕事を終えることができず、残りは家に持ち帰る隠れ残業をせざるを得なくなった。家での作業時間だけで月100時間を超えることもあった。仕事で使用していたPCのそばには遺書が残されていた。男性はうつ病を発症していたとして労災認定された。会社は再発防止に向けた取り組みを徹底していくとしている。

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うつ病富山県
働き方改革の“ひずみ” 過労死なくすには何が

精神科医の天笠崇さんは、働き方改革は労働時間を短くというメッセージだったが、減らすだけではだめ、従業員の心身を守れた上で労働時間を減らすことがうまくいかない労働者や企業があると指摘。現場では若手が入ってこない、入ってきても手間暇をかけて育てるのが十分にできないことが起きている。医師、建設業、運送業にも2024年から時間外労働の上限規制が適用される。企業は過労死を防ぐために、人権に関する方針を策定、人権侵害のチェック・改善への働きかけ、実効的な救済などが求められる。例えば職場ドッグとして、様々な観点から職場を点検していき、職場ストレス対策をしていくこと。

“過労死 繰り返さないで” 遺族たちのねがい

過労死の末に亡くなった夫、家族で過ごしたサッカー場。娘の死から10年、初めて国の慰霊式に参列した両親。過労死が奪った家族の日常。同じ思いを誰にもさせたくないというのが遺族たちのねがい。

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電通高橋幸美

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