2024年10月23日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
休診・手術数か月待ち…深刻化する“医師の偏在”

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
休診・手術数か月待ち…深刻化する“医師の偏在”

救急搬送されてきた女性を治療するのは一度引退した76歳の医師。この病院では医師が不足し、患者の命に関わる事態に直面している。全国では医師の数は年々増加している。みえてきたのは深刻化する医師の偏在。

オープニング

オープニング映像。

休診・手術数か月待ち…深刻化する“医師の偏在
休診・手術数か月待ち…深刻化する“医師の偏在”

医師の偏在指数は、各都道府県の医療ニーズに対して医療の供給量がどれくらいなのかを算出したもの。関東より北の東北などでは医師が少ない傾向にある。医師不足は過疎地などで長年問題視されてきたが、首都圏でも医師が少ない地域がある。

休診が続出!?深刻化する“医師の偏在”

埼玉県秩父市にある秩父市立病院。脳外科や循環器内科などで常勤の医師がいなくなり、患者の受け入れを一部制限せざるを得ない状況に直面している。小児科の黒沢大樹さんは地域医療がいかにニーズに追いついていないか知ってほしいと取材に応じてくれた。患者があふれ診療を制限することもあるという。診察をしていると、さらに救急の依頼が入る。授業中に倒れたという中学生が運ばれてきた。逼迫する地域の医療現場には医師の偏在が深く関わっている。埼玉県の中心部は全国上位3分の1に入る医師の多い医療圏だが、秩父は医師が少ない医療圏。県内でも都市部と地方で格差が広がっている。医師を募集しても希望者が現れないという。秩父地域の子ども約1万人に対して、小児科専門の医療機関は2か所しかない。夜間の救急対応のため、週に1回ほど当直も担っている黒沢さん。当直明けの日も夜の11時まで勤務が続いた。追い打ちをかけているのが今年度からはじまった働き方改革。ひと月の残業時間が100時間を超える事態が起き産業医からマンパワー不足を指摘された。

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秩父市立病院秩父市(埼玉)

地域の偏在に加えてさらに課題となっているのが、診療科の偏在。近年増加しているのは美容外科、減っているのが消化器・一般外科。診療科の偏在と地域の偏在が重なる二重の偏在が起きている地域では命に関わる危機的な状態となっている。

埼玉県秩父市にある民間病院。医師の偏在が特に深刻なのが外科。ピーク時には7人いた常勤外科医は2年前から2人に減った。年間の手術件数は約500件、7人いたときの倍近い件数に増えている。理事長で外科医の花輪峰夫さん76歳、一度は引退したが逼迫する現場の状況をみて復帰した。がんなどの手術に救急対応が重なることもあり、外科医2人だけではリスクがあるという。この病院の外科医の業務は外来、検査・手術、術後ケア、救急と長時間労働が外科医の担い手が増えない最大の理由とされている。

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秩父市(埼玉)秩父病院

先月、花輪さんが向かったのは母校の日本医科大学。消化器外科の教授に秩父にきてくれる医師を工面してほしいと直談判した。秩父の患者は秩父で見るという地域完結型の医療を掲げてきたが花輪さんは夜間救急から撤退する決断をした。

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文京区(東京)日本医科大学秩父病院秩父(埼玉)
休診・手術数か月待ち…深刻化する“医師の偏在”

国際医療福祉大学の高橋泰さんは医療の偏在について、VTRであったような厳しい地域の状況が消化器外科については大都市でも同じようなことが起きるのではないかという。直美は医学部を卒業して美容外科に行くという若い医師が増えてきているという。これも偏在に大きく関わっていると指摘。2004年からは新臨床研修制度が始まり、2年間の研修で複数の診療科を経験することができるようになったが、大変な診療科に行く医師が減ったという。2018年にはじまった新専門医制度は一定以上のスキルを持つ医師育成、都市部では症例が多いが、地方では症例が少ないという現状がある。

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国際医療福祉大学
休診・手術数か月待ち…“医師の偏在”解決のカギは?

高知大学医学部附属病院で今進めているのは、激務とされる外科医の業務改革。これまで1人の執刀医が中心となっていた手術を複数の医師で分担することにした。手術にくわえ、標本整理や術後管理までと長時間労働が避けられなかった外科医。手術の山場を越えると執刀医が休憩に入る、その間の手術は若手医師2人に任せる。手術の終盤にベテラン医師が応援に加わると、執刀医は手術後に行っていた標本・記録を並行して進めて時間を短縮する。これまで外科医が行ってきた術後管理を麻酔科に引き継ぐ。外科医は激務というイメージ払拭し担い手を増やすことで、地域医療にも貢献していきたいという。

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高知大学医学部附属病院

国際医療福祉大学の高橋泰さんは高知大学医学部附属病院の取り組みについて、研修医や医学生からみてとても魅力的なものだが、ここまでのい改革をしているところは少ないと思う、全国的にみれば医者の働く時間は短くなってきているのでいろんな改革の成果が出ているという。開業補助をしている自治体や医学部卒業後に原則9年間特定の地域で勤務する地域枠を設けたり、専門研修の採用枠を都道府県・診療科ごろに上限を設けるシーリングという仕組みなどを作ったりしている。

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高知大学医学部附属病院

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