2024年10月22日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
「美食」が地方を救う!? ガストロノミーツーリズムの新潮流

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
美食求めて地方の村へ? 外国人観光客の新潮流

今、地域特有の食文化を求めて旅をする「ガストロノミーツーリズム」が大流行。世界で約1.5億人がこうした旅をしているという。今回は外国人観光客の動きから日本の観光の新たな可能性を考える。

キーワード
ガストロノミーツーリズムクエ国際観光振興機構戸畑区(福島)赤ウニ
オープニング

オープニング映像。

#4939 「美食」が地方を救う!?ガストロノミーツーリズム
“美食”が地方を救う!? 外国人観光客の新潮流

「ガストロノミーツーリズム」について説明。ガストロノミーとは文化や歴史と絡めて食を楽しむこと。それとツーリズム=観光をかけ合わせた言葉。食を通じて、その土地ならではの個性を楽しめると、主に富裕層から地方への注目が高まっているという。

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ガストロノミーツーリズム川場村(群馬)松阪市(三重)豊頃町(北海道)
美食求めて富山の村へ 外国人を魅了する秘密

富山にやって来たジョスリン・チェンさんは中国で食のインフルエンサーとして活動している。年間250のレストランを訪れ、その旅行に費やす費用は年間2000万円。ジョスリン・チェンさんは日本に来たのは100回以上。食事は旅の一部ではなく、旅の目的になると話した。やって来たのは過疎の村でただ1軒のレストラン。4年前にできたこのレストランはフランスの三つ星レストランで働いていた谷口英司さんが独立して開業した。こだわりは熊肉や山菜、地元農家のひな鳥など、この地域ならではの食材。コースは1人約3万円、専門家から究極のローカルガストロノミーとして評価を得ている。ガストロノミーツーリズムの魅力・その1は食を通して文化や歴史を知ること。魅力・その2はサステナビリティへの貢献。食事の様子はSNSに投稿。世界の美食家たちに伝わり、今では海外から年間1000人がこの店を訪れる。

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中国の若者がほれこむ 静岡 老舗鮮魚店の技

静岡・焼津市にある2年前にオープンしたフランス料理店にやって来たのは中国からの一人客。食のために静岡に来た、これから毎月来るでしょうと話した。この日の一品「朝獲れアジのマリネ」。このアジに中国から通う理由があるという。北京からの客は静岡の高級レストランは鮮魚店の前田さんが手がけた駿河湾の魚を使っている。前田さんの魚の目利きがすごいと話した。鮮魚店5代目・前田尚毅さんは静岡県内のレストランに魚を卸している。魚の鮮度を保つ神経締め。この技術が特に優れていると、ガストロノミーツーリズムの魅力になっている。前田尚毅さんは魚を卸すレストランのメニューに合わせて締め方を変えるという。この徹底した技術が中国の食通たちの間で話題になった。前田尚毅さんが鮮魚を提供する店はフランスのグルメガイドにも掲載され、評判は世界に広がっている。

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“美食”が地方を救う!? 外国人観光客の新潮流

外国人の惚れ込みポイントは世界で類を見ない多様な食文化。柏原光太郎は日本の南北の海に違った魚がいる。また、違った野菜が採れるなどの多様性がある。その多様性一つ一つにフードがくっついているため、色々なものを味わえる。また、日本はコンパクトなため、それを一度に味わえると話した。ガストロノミーツーリズムは主に富裕層がターゲット。富裕層の志向が変化しているという。従来型は地位・富・消費に価値をおく高い快適性を求めていた。新型は文化・質・独自性に価値をおく本物の体験を求めているという。柏原光太郎は新しい富裕層はその場に行くことに価値を求めているなどと話した。

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ガストロノミーツーリズム国際観光振興機構
“美食”が地方を救う!? 地域に経済効果と“誇り”

富山県の過疎の村でフランス料理店を営むシェフ・谷口英司さん。扱う食材は生産者のこだわりが詰まったものばかり。農家・河上めぐみさんは平飼いで鶏を育てるほか、有機栽培で米・野菜を育てている。谷口英司さんとの取引を始めたことで売り上げが10年前の4倍になったという。売り上げが上がったきっかけは河上めぐみさんのひな鳥が谷口英司さんの店の看板メニューになったことだった。それを食べた客や料理人がこの生産者の他の農産物も食べてみたいと興味を示すようになった。特に感心が集まったのは徹底した循環型の農業。鶏のエサは地元で不要になったパンや酒かすを使用。米の栽培も農薬・化学肥料を使わずに鶏のフンを用いている。アメリカの高級寿司店との取引も決まった。米は1キロ1000円で売れるようになり、卵の価格も倍の80円に値上げできるようになった。谷口英司さんの店には絹と和紙で作ったメニュー表がある。城端絹を地域でただ1軒製造する絹織物会社の社長・松井紀子さん。売り上げは最盛期の20分の1だという。しかし、谷口英司さんの店を訪れた客が絹に興味を持ち、商談の連絡が来た。共同で事業を始めることが決まったという。食器を提供している陶芸家・釋永岳さんは全国の料理人や美食家から依頼が相次ぐようになった。取引件数は9年で30倍になったという。食用花を提供する花農家も取引件数が20倍になり、新たにスタッフ5人を雇うなど地域の雇用に貢献している。海外を中心とした客からの評価は地域全体の誇りにつながっているという。

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城端絹富山県
“美食”で地域を活性化 成功のポイントは?/“美食”で日本を盛り上げる! 専門家からの提言

村山慶輔はガストロノミーツーリズムには地域の関係者の連携が大切。シェフ・谷口英司さんのような存在は地域にとって不可欠だと話した。外国人が求めるのは“地域ならでは”、高級レストランでなくてもニーズがあるという。新潟県と群馬県では21のレストランが連携し、地元の食材・伝統料理を提供している。柏原光太郎はガストロノミーツーリズムを盛り上げようとしてイベントを開催する地方自治体があるが、それは一過性で終わることが多い。イベントを開催するのではなく、ワンボックスカー50台を用意して二次交通を整備した方がいいと話した。村山慶輔は良いもの=ホンモノを“高く”届けるという価値観を持つことが必要。良いものは高く買ってもらえると話した。

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ガストロノミーツーリズム南魚沼市(新潟)群馬県

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