- 出演者
- 高井正智 森下絵理香
米国大統領選挙について伝える。勝つのは史上初の女性の大統領を目指すハリス氏か。それとも返り咲きをねらうトランプ氏か。米国大統領選挙は5日、全米各地で投票が行われ日本時間のきょう午前8時から各州で順次開票が始まっている。勝敗の鍵を握る激戦州を中心に最新の開票状況に加え安全保障から経済までさまざまなテーマについて専門家も交えて深掘りする。大接戦のまま迎えた投票日。トランプ氏はメラニア夫人とともに南部フロリダ州の投票所を訪れて投票を行った。一方、期日前投票を行っていたハリス氏は民主党全国委員会を訪れ、電話で支持を呼びかけた。選挙戦では双方が経済や移民、それに外交政策などを争点に最終盤まで激しい競り合いを繰り広げた。開票も各地で順次始まっている。有権者の判断に世界中の目が注がれている。最新の開票状況を全米の地図で見ていく。トランプ氏が勝利を確実にしたケンタッキー州、選挙人は8人。伝統的に共和党への支持が強い州で前回はトランプ氏がバイデン氏に26ポイントの大差で勝利していた。今回もトランプ氏。ハリス氏が勝利を確実にした州はバーモント州、選挙人は3人。前回、前々回も民主党が勝っていた。ハリス氏が3人、トランプ氏が8人となっている。全米の選挙人は合わせて538人。過半数の270人を獲得した候補が当選確実となる。各州の開票状況についても詳しくお伝えしする。NHKではこの勝利確実を米国ABCテレビが出口調査や情勢分析などをもとに発表する情報に基づいて伝えていく。
最新の状況をワシントンからワシントン支局長・高木優が中継で伝える。東部や南部などの一部の州で開票作業が始まっている。このうち中西部インディアナ州の開票状況。伝統的に共和党の地盤で2020年の大統領選挙では共和党のトランプ氏が民主党のバイデン氏におよそ16ポイント差で勝利した。現在の開票率は14%。続いて南部ジョージア州。ここは選挙全体の勝敗を左右するとされる7つの激戦州の1つ。開票は先ほど始まったばかりで開票率は0.1%となっている。ここでは1996年以降、共和党の候補者が勝利してきたが、前回4年前はバイデン氏がトランプ氏を0.2ポイント差で破りバイデン氏の当選を後押しした。選挙人が16人と激戦州の中では2番目に多く共和党の伝統的地盤だけにトランプ氏としては落とせない州となる。序盤戦の見どころはジョージア州とこのあと日本時間の午前9時半から開票が始まるノースカロライナ州という2つの激戦州の動向。いずれもサンベルトと呼ばれる南部から西部にかけての保守の地盤。トランプ氏としては取りこぼせない州といえ、しハリス氏としてはここで1州でも取れれば勝利のシナリオが増える。トランプ氏に対する暗殺未遂事件に現職のバイデン大統領の選挙戦途中での撤退という異例中の異例の展開となった今回の選挙。国民の関心は非常に高く全米が開票状況を見守っている。
大統領選挙の勝者は単に票の奪い合いで決まるわけではない。その仕組みをまとめた。4年に一度、夏のオリンピックと同じ年に実施される大統領選挙。投票は11月の第1月曜日の翌日の火曜日に行われる。有権者は事前に登録した18歳以上の米国国民。単純に全米の総得票数で勝者を決めるのではなく州ごとに投票を行い州ごとに勝者を決めていく。各州と首都には選挙人が割り当てられていてメーン州とネブラスカ州を除き勝ったほうがすべてを獲得する。州ごとに選挙人の数は異なり勝者はこの選挙人をトータルでどれだけ多く獲得したかで決まる。全米の選挙人の総数は538人。その過半数270に達した候補が米国の新たなリーダーとなる。
- キーワード
- アメリカ合衆国大統領選挙
ハリス氏とトランプ氏、両陣営の最新の動きについて現地から伝えてもらう。首都ワシントンにあるハワード大学に設けられたハリス氏の演説会場。会場には米国だけでなく世界各国のメディアが詰めかけていてざっと数えてもその数は100社ほどに上り世界が注目していることがうかがえる。ハリス氏は家族と一緒に過ごしたあとこちらの会場に移ると米国メディアは伝えている。会場のハワード大学はハリス氏の出身校。歴史的に黒人の学生が多いことで知られ、ノーベル文学賞の受賞者や連邦議員、閣僚など数多くの著名人を輩出してきた。話を聞いた大学の学生も「ハリス氏は希望の光でありサクセスストーリーそのものだ」として「初の女性大統領誕生を心から期待している」と話していた。
フロリダ州にあるトランプ陣営の会場。支持者が集まり始めている。トランプ氏は会場近くの自宅、マーアーラゴで家族や友人と過ごしていると伝えられている。開票の状況を見てここで演説を行うと見られる。トランプ氏は投票所で1票を投じたあと「これまでで最もよい選挙戦だった」と述べ勝利に自信を示した。一方でトランプ氏は激戦州のペンシルベニア州の最大都市フィラデルフィアで大規模な不正が起きているとSNSに投稿していて、選挙結果を巡る混乱も懸念されている。選挙最終盤でトランプ氏はもう一度大きな夢を抱こうというスローガンを掲げた。その夢である大統領への返り咲きがあるのか、会場は早くも熱気を帯び始めている。
新しい勝利確実の情報が入ってきた。ABCテレビによると中西部インディアナ州で共和党のトランプ氏が勝利を確実にした。これによりトランプ氏は新たに11人の選挙人を獲得することになった。これで全米の選挙人合わせて538人のうち現在ハリス氏が3人、トランプ氏が19人の選挙人を獲得している。
続いて勝敗の鍵を握る激戦州について伝える。何がポイントなのだろうか。国際部・有岡デスクと伝えていく。今回は7つの州で激しい競り合いとなっている。7州での直前の世論調査の平均。支持率で見るとトランプ氏が上回っている州が5州、ハリス氏が上回っている州が2州となっているが、いずれも僅かな差で激しい競り合いとなっている。大統領選挙は各州ごとの結果に基づいて獲得する選挙人の数の合計で決まるが、米国の多くの州では民主党、共和党のどちらが強いかという傾向がはっきりしている。そのため支持がきっ抗する7つの州をどちらの候補が制するのかというのが勝敗を左右することになる。激戦州7州を各時間帯で1つずつ見ていく。この時間は最も早く開票が始まるジョージア州。開票率0.1%、得票率は今トランプ氏が54.4%、ハリス氏が45.4%となっている。16人の選挙人の争い。激戦州の中ではノースカロライナで2番目に多くなっている。州都のアトランタには大手飲料メーカーや航空会社などが本社を置いていて米国南部の経済の中心地になっている。人口に占める黒人の割合は33%と全米の中でも高く公民権運動の指導者キング牧師の出生地でもある。長年、共和党の地盤とされてきた州なのだが都市部を中心に人口が増加する中、民主党の支持層も増えてきていて激戦州となった。前回はバイデン氏が0.2ポイントという僅かな差で28年ぶりに勝利しており、前々回は共和党のトランプ氏が5.1ポイント差で制している。それぞれ勝つためのポイント。両陣営ともに州の人口の3割以上を占める黒人層の票をどれだけ得られるかというのがポイントになる。この黒人層だが、伝統的には民主党の支持基盤となってきた。ただ、過去の選挙の分析によるとオバマ氏が勝利した2008年の選挙に比べて前々回、前回と民主党の候補者に投票した黒人有権者の割合が少しずつ減ってきている。このためハリス氏がどこまで黒人層の支持を固められるのか、そしてトランプ氏がどこまで切り崩しを図れるのかが焦点になる。
激戦州の中でも最も選挙人が多いペンシルベニア州から中継。東部ペンシルベニア州の第2の都市ピッツバーグの開票所。こちらでは郵便投票の開票に向けた作業が行われていてモニターにはその様子が映し出されている。ここペンシルベニア州は激戦州の中でも選挙人が19人と最も多く勝敗の鍵を握る州といわれている。中でもここピッツバーグは大手鉄鋼メーカーのUSスチールの本社があり、製造業が盛んで労働者層の票が州の勝敗を左右すると見られている。このため両候補は何度もこの州を訪れ、投票日前日も集会を開き支持拡大を図った。