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42年前に発表された川久保玲の「Holes」は世界に衝撃を与え、多くの批判を浴びた。番組では世界を変えた一着のストーリーを紹介する。
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コム・デ・ギャルソンのデザイナーである川久保玲が「Holes」を発表した1982年、冨永愛が誕生した。2017年、メトロポリタン美術館で川久保の特別展が開催されている。「Holes」の発表当時、「貧乏に見せたい人のための新しいファッション」、「核の惨禍から生き残ったもののよう」などと非難囂々だった。アレクサンドル・サンソン氏によると、美しさの基準は西洋の価値観によって決定づけられ、華やかな色の組み合わせ、対称性などが主流だった。だが、「Holes」は喪服を想起させる黒で、セーターに空いた穴の位置、大きさともに不規則。川久保はこれまでにないスタイルを作ったと評価する声もあり、ミラノコレクションでは多くのデザイナーが黒を基調とした服を発表する。87年には権威あるフランスの業界紙でコム・デ・ギャルソンが1位に輝いた。マルタン・マルジェラ、アレクサンダー・マックイーンらは川久保玲に強い影響を受けたとされる。
「Holes」は西洋の美意識を変革し、多様な女性の美しさを世界に広めたといえる。制作当時、川久保は「新しいレース地を作りたい」と語っていたというが、どのようなきっかけ、何が発想の源となったのかは思い出せないという。偶然性、過去のなにかとの巡り合いのようなものが重なったという。
97年に発表された「Body Meets Dress, Dress Meets Body」は服が体、体が服がなのではないかという気づきから生まれたといい、「Blue Witch」では強い意志と行動力を持つ女性を表現したという。コロナ禍でパリコレがオンライン開催となると、川久保はリアルなショーにこだわって自社で新作を発表。「Landscape of Shadows」にはモノクロームの静寂の中での一呼吸がテーマとなっているという。
川久保玲は発表する新作に合わせ、自らショーの開催場所を選定する。24年3月にお披露目された新作には昨今の心境、怒りを込めたという。そして、スタッフや仲間、縫製工場の協力があってこそ、強い服作りができるという。
川久保玲は大手繊維メーカーに勤務し、宣伝部で広告制作にあたっていた。男性優位のなか、女性の平均勤続年数は4年。川久保は入社から3年で退職し、デザイナーとして独立する道を選択した。後に自らのブランド「コム・デ・ギャルソン」を立ち上げる。75年、南青山に最初の直営店をオープン。若い世代の働く女性から支持され、その1人が建築家の妹島和世。創作を通してそれまでの形式を問いかけるという川久保の姿勢に励まされるという。川久保は自らの服を着る人々に向け、「今まで通り、新しい他にない服を作り続けたいと思います」と話す。そして、「どのような分野でも簡単な仕事、生き方はないと思います。大切な大変な仕事を日々一生懸命行っている方々への評価が高くなる社会があればと思います」とメッセージを寄せた。
冨永愛、町田啓太は美しさは1つに限らず、まだ見ぬ美しさがあると感じるという。
エンディング映像。
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