- 出演者
- 森田洋平 茂山逸平 三林京子
今回は、狂言の魅力を紐解く。
スタジオには茂山逸平と三林京子が登場。三林は茂山家で稽古をしていたことがあったと話した。狂言を3つのポイントでひもとき、さらに茂山千五郎家から狂言の稽古場の様子を伝える。
狂言は中世の庶民の日常を描いた喜劇。対話を中心としたセリフ劇で1つの演目で登場人物は2~3人のものが大半。狂言はいにしえより寺社や村落で演じられていたものまね芸などの芸能から発展したと言われている。ほぼ同じ時代に生まれた能は神話や歴史上の物語を題材にした仮面劇で、セリフはなく厳かで幻想的な悲劇として演じられた。狂言と能をあわせて能楽と言い、同じ舞台で上演されてきた。江戸時代に入ると能と狂言は幕府から手厚い庇護を受け、特に武家層からの支持を得た。しかし、明治時代になると新政府の有力者が能を保護したのに対し、狂言はその対象から外れ上演の場を失っていった。
そんな中、狂言の新たな道を模索したのが茂山千五郎家。前当主の茂山千五郎正義さんは生前は茂山家に所属する20人ほどの狂言師を束ねていた。曽祖父にあたる十世・茂山千五郎正重さんはお座敷の余興として狂言を披露するなど、当時タブーとされていたことを積極的に推し進めた。望まれればどこででも演じるのが茂山家のモットーとなった。
狂言について茂山逸平は「難しく考えずに、今でいうコントや新喜劇などお笑いのお芝居として捉えると観ていただきやすい」と話した。茂山は能は悲劇的に、狂言は日常を会話劇で面白おかしくみせると違いについて説明。さらに、狂言の演目『附子』、『鎌腹』を紙芝居形式で紹介した。
茂山千五郎家から中継。茂山竜正と虎真について、茂山逸平は「現当主の長男・次男の双子。若手のホープとして最前線で活躍してくれると信じている」と紹介した。茂山千五郎家の蔵には様々な装束や面が並んでいる。狂言では格子柄を着ていると太郎冠者など、装束で役柄を表しているという。着物の上に羽織る肩衣では季節感を出している。さらに、貴重な面を紹介した。
茂山家で特別な曲「釣狐」は演じるのが難しく狂言師の卒業試験とも言われてきた。現当主の千五郎正邦さんは節目節目で釣狐を演じてきた。比較的笑いが少なく、動物を演じるため人間の時とはまったく違う演技で体力を消耗する動きと長台詞が続く。
茂山逸平は「釣狐を初めて演じた時は父に習ったとおりにやることを心がけていた。その後はその時々の自分の技術力と衰える体力のバランスで自分の足もとがどこにあるのかを思い出させてもらえる曲」などと話した。狐の面は立体的で顎を出すことで口が開いたり閉じたりする。
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- 釣狐
狂言では古典に加えて新作が演じられることもある。茂山千之丞(童司)さんは自ら書き下ろした狂言を毎年発表してきた。100年後に古典として残る演目を目指しているという。
茂山逸平は「狂言は栄養ドリンクくらいの感覚で触れてくださるといいかな」と話した。