2023年7月16日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
5類移行後の感染拡大 新型コロナとどう向き合う

出演者
伊藤雅之 星麻琴 
(日曜討論)
夏休みを前に現状をどう見る

感染者が増加している現状について、尾身さんは「この状況は続くという風に考えた方がいい」とコメント。また定点観測だと変化が分かりづらいという指摘について、それを補う形で下水サーベイランスというものを行っているという。坂本さんは「定点観測となったことで感染状況が分かりにくくなった一方、患者の数が増えてきたとより鋭敏に掴みやすい」と話し、尾身さんと同様に患者数は増えていくと指摘した。村井さんは「沖縄県で起きることは必ず全国に広がると思う。間違いなく第9波といってもおかしくない」と話した。また介護の現場について、高口さんは「今は随分現場は落ち着いてきた。9波が来ると言われても、来る時は来るという構えが現場には出来ている」とコメント。中空さんは経済の面から「第9波がもっと大きくなったとて、完全に経済を止めるのは難しい。策が取れているのかなど考えながら経済の影響を考えていかなければならない」と話した。

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尾身さんは「はっきり言って変異はどういう方向にいくかわからない。それについて分かり次第報告していく形となる」とコメント。また「死亡者が増え免疫を持ったイギリスでも死亡者が減ることはなく、山をまた繰り返す。ただ山の上下幅が少なくなっていく」と話した。

医療の現状と備えは

新型コロナの感染が広がっていることをうけ宮城県でこれからの医療体制の備えが十分か村井さんに質問。村井さんは、「病院の調整がつかなくなったときに行政ができるがそこには至っていないが、いずれ沖縄のようになると考え準備はしないといけない。全国比較するためには客観データを取ることが重要。宮城県では内科・小児科1000あるうちの91箇所で観測している。また750病院はコロナの面倒をみるとしており、250は意思表示をしていない。定点観測の病院を750から選ぶのか1000の中から選ぶのかで患者の数が変わる。今後、同じ基準で患者数をカウントする必要がある」などと語った。尾身さんは、「標準化した方が良いが現実は各地域によって医療体制が違う。定点は県内の動向はわかりやすいが比較するのは難しい。標準化はすぐにできないので少しずつ進める」などと語った。坂本さんは、「今年はコロナ・RS以外にもヒトメタニューモウイルス・ヘルパンギーナなどの患者が増えている。特に入院医療が深刻で関東圏では入院先が見つからず、10~12件たらい回しになる事案がある。背景には小児病院が10年で4割減っていることや診療報酬が低いため高い専門性をもったスタッフの育成・配置が難しいことがある。質の高い小児医療やサージが起きた時のためにも日常の態勢を整えることは少子化対策に含めるべき」などと語った。

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「5類」以降後 経済は 観光は

今月15日から来月末までに国内旅行する人は7250万人で、コロナ拡大前と同じ水準まで回復する見通し。外国人旅行者も増加傾向が続いており、5月には189万人が日本を訪れ、2019年の同時期の7割ほどの水準となっている。中空さんは、「コロナ5類以降や経済再開が遅かった。諸外国では2021年6月にはオープンになっていた。コロナ9波が来ると再度経済が止まる恐れがあり、止めないためにどう行動するか決めないといけない」などと語った。高口さんは、「看護師は自分たちが感染源となってはならないと考え外出など制限していた。また周囲の目も厳しかったが、5類への移行で開放された。一方で未だ人の集まる場所に行ってはいけないという施設もある」などと語った。

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コロナ5類移行で日本が3年前の水準になったか聞かれ坂本さんは、「感染者が急増した沖縄ではホテルの予約がキャンセルされたり、医療にかかりにくくなったという経済と医療が共倒れになりそうな状態になっている。5類移行が発信されたときに、ウイルスが消えた・重症化しなくなったなどのイメージを与える伝わり方があった思う。感染対策はメリハリが重要なので感染対策を楽しむやり方を伝え方をしないといけない」などと語った。中空さんは水際対策について、「基本的にはオープンにすべきだが、本当に凄い波が来た場合には行動制限するべき」などと語った。尾身さんは、「コロナによりパニックと安心する傾向が繰り返されている。致死率は下がっているが感染伝播率が増えており、日本の死亡者の絶対数は増えている。また亡くなっている人の殆どが高齢者であることを理解する必要がある」などと語った。

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コロナ対応の教訓と「5類」の課題/「5類」移行見えてきた課題は

新型コロナの感染拡大が始まったのは2020年春。その後国内では感染状況に応じて緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返しだされ、感染拡大防止と社会経済活動の両立を模索してきた。5類に移行するまでに、国内の感染者は累計約3380万人、死者は7万4000人を上回った。これまでを振り返り、尾身さんは外国と比較するとわかりやすいという。日本はパンデミックの前半にかなり死亡者を減らし、欧州は前半に医療崩壊などを起こした。一生懸命やったために、まだ感染者が5割いっていない。これからその5割の人が感染する可能性があるという。今一番求められるのは、高齢者の死亡をどれだけ防ぐかだという。第8波で感染者が減ったのは、5類以降に伴い全て報告されているわけではないため、実態は第7波より感染者が多かったと判断されるという。致死率は減っているが感染者が増えているため、第8波まで死者が増えているという。村井さんは、5類になってからは定点報告に変わったため、コロナで亡くなった方の数が表に出てこなくなったので油断をしないでほしいなどと述べた。高口さんは介護の観点から、人間関係を守るのが介護でありながら、人間関係を遮断することが感染症対策という矛盾の中で迷いながら仕事をしていたという。

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坂本さんは、コミュニケーションに関することは今も課題があるという。感染や重症化するリスク、それを防ぐための対策は、地域での流行状況、ワクチンを接種したかしてないかということにグラデーションがあるという。リスクがグラデーションで捉えられてると柔軟な感染対策の選択が可能になるという。だが、政府の専門家の説明でリスクや対策がグラデーションで語られても、政治家やマスコミが発信されるときに、履行対立で発信されることが多かったため、説明が十分だったとは言えないとした。これからは、1人1人の周囲のリスクに見合った対策を柔軟に選択できるような情報発信が必要だとした。中空さんは、個人の動きが本当に様々なことが励行できて遂行できてるか推進できてるかは、国や行政などが後押ししてるかを含めて考えないといけないとした。村井さんは、専門家の話を聞きながらしっかり情報発信をするのが重要だとした。尾身さんは、今の状況は経済の人たちが見る景色と医療関係者が見る景色は違うとし、これからは分断みたいな関係がないようにするのが次回の教訓などとした。

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新型コロナが感染症法上5類に移行したことで、幅広い医療機関で対応することが可能になった。坂本さんは、コロナは感染力が非常に強いため、コロナの方を受け入れようと思ったら空床をつくったり対応人員を増やしたり個人防護具が必要だったりなどがあり、なかなかすんなりいかないところも多いと思われるという。今は行政の調整がないため自力で探さないといけないという。今後入院患者が増えた時に、かなりの困難が生じるなどとした。高口さんは、どんな医療や処置も生活が成り立たないと立ち行かないのに、その最も身近にある在宅ヘルパーの扱いが杜撰だったと感じていたので、この経験で在宅でも施設でも見れることがわかったので、介護の現場では頑張りたいとした。ただ、家族心情には医療は答えてほしいとした。村井さんは、来年の春の診療方針の改定のときに、手厚い支援をしてもらえるよう知事会に申し入れをするという。尾身さんは、5類になるのはかなり激しい変化のため、段階を踏んでしっかり準備をするよう申し入れしてるが、今まさに問題が起こっているという。落ち着いてる時に考えて根本的なこともしないと、対症療法だけでは難しいなどとした。

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コロナ予算 成果と課題は

令和元年度から3年度にかけて、50兆円あまり、感染防止策に15兆円余などが支出されている。村井嘉浩は、この財源がなければ対応できなかったと思うので評価をしているとコメントした。中空麻奈は、コロナ関連予算は114兆円使ったと言われていて使途不明金が6兆円出ている、コロナ予算が本当に上手く使えていたかなどの問題を抽出しどう次のパンデミックに備えるか考えないといけないと思うと話した。坂本史衣は、クラスターが起きやすいなどの不可抗力で業務を縮小した病院等もたくさんあり、経済的なダメージを引きずっていて難しい判断がまだ続いていると話した。高口光子は、在宅のヘルパーがいかに頑張ったか、見えないヘルパーたちの評価を高めて欲しいとコメントした。尾身茂は、2019年の新型インフルエンザの反省がほとんど生かされていない、日本は人口あたりの医療従事者が少ないことなどを今しっかりと議論するべきだと話した。

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コロナの先へ これからの社会は

今後、新たな感染症に備えてこれまでの教訓をどう活かせばいいのか質問。高口氏は「パンデミックの一番の敵は不安にかられて思考停止になること。これから第9波が起きるのだったら感染症の為の感染症対策じゃなくて人間の為の感染症対策を1つ1つ真剣にやっていこうとコロナから教わった」と指摘。坂本氏は「医療提供体制が逼迫してしまうと流行する感染症以外の病気で助けられない人が出てきてしまい経済にも影響が出る。そのため流行している感染症と上手く付き合いながら生活していけば良いのか柔軟なメリハリのある対策を行いつつ医療を守っていく。今回の教訓を生かしながら態勢を整えていくことは必要」と指摘。中空氏は「経済では3つあると思っている。1つはコロナ予算の検証。2つ目はデータの整備。3つ目はコロナでリモートワークやオンライン授業など変わってきたのでいつでも取り入れられるようになっているかどうか。この3つを常に考える必要があるんじゃないか」と指摘。村井氏は「マイナンバーカードを使用しながらデジタル技術を最大限活用して速やかにデータが集計できるような社会に切り替えていくべき」と指摘。尾身氏は「大まかな戦術を作っていく必要がある。その中でワクチン開発・人材などをしっかりと大きなデザインを作った上で今のうちから計画することが大事」と指摘。

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(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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