2023年7月22日放送 4:10 - 4:20 NHK総合

時論公論
時論公論 どうする生殖医療のルール 国の役割は[再]

出演者
中村幸司 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

時論公論
どうする生殖医療のルール 国の役割は

不妊治療や生まれる前の胎児の検査など、生殖医療に関するルールはどのように決める必要があるのか?などを解説する。今の生殖医療のルールの多くは日本産科婦人科学会が作ったもので、自主規制として運用されている。この学会は、産婦人科の医師など、1万7000人の組織の団体で、学会は生殖医療に関するルールを自ら決めるんは限界があるとし国によるルール作りを求めている。生殖医療の現状では不妊治療は去年から保険が適用され、精子と卵子の体外受精や、針で卵子の中に精子を送り込み顕微授精などが対象。この受精卵を着床させるという。男性に不妊の原因がある場合では第三から提供された精子を子宮の中に送り込む方法もあるという。これについて日本産婦人科医会は一人の提供者からの出生児は10人以内としている。カップルの受精卵を第三者の女性に妊娠、出産してもらう代理出産は意見は様々だが学会のルールでは禁止している。妊娠した女性の身体的危険性や、精神的負担、家族関係が複雑になるといったことが理由だという。こうした中で代理出産のために海外に渡るケースもあり、ルールに反して国内で代理出産を行った医師が学会から除名されたこともあった。代理出産は国内での法律では規定されていない。また精子や卵子、受精卵の凍結保存されることがあるが不妊治療で適切なタイミングで着床させるケースや、がん治療の影響の回避し凍結保存するケースも。学会でのルールは凍結保存したものの売買は禁止されている。しかし不妊治療中の人に高値で売買される危険性もあるという。これも国の規定はないという。法的な拘束力もなく、医師は学会から除名されても医療活動ができなくなるというものでもなく、学会ルールの効力には限界もあるという。

キーワード
日本産科婦人科学会生殖医療

生殖医療はさらに進展しており、生まれる前の胎児や受精卵の段階で病気かどうかを調べる検査が行われている。そのうちの1つが受精卵が一定程度細胞分裂した段階で一部の細胞を取り出して調べる着床前検査があり、特定の遺伝子に異常がないかどうかを調べるという。異常がみつからなかった受精卵を選んで着氷させる。受精卵を選ぶことから命の選別につながると言った議論があり慎重に行われる必要がある。学会の検査では遺伝子を検査する対象となる病気には重篤な遺伝性の病気に限ると限定している。しかしどのような場合が重篤と考えられるかのか?病名だけでは決められることではないという指摘もある。最初の子供が思い遺伝性の病気だった場合、二人目の子供はその検査が認められると考える関係性もいるが異なる意見の人もいるという。検査で、ある病気の子供が生まれないようにするということは障害のある人の差別を助長しないかという意見もある。もはや学会が決める範囲を越えているという。生殖医療のルールについては以前から繰り返し指摘されており、2000年に、当時の厚生省の専門委員会は、報告書で倫理的、法律的、リユース的側面から検討し、提言などを行う公的機関の設置を求めている。また2008年には代理出産を検討してきた日本学術会議の検討委員会は生命倫理に関する諸問題について、公的な常設委員会を設置し政策の立案をするようにと求めている。こども家庭庁の担当者は、2000年からの経緯を踏まえ現在国会で議論が進められてると話している。この議論は2020年に成立した生殖医療に関連した親子関係の特例に定める法律で、法律の付則では、成立後も様々な検討を行うよう求め国会の超党派議員の連盟が議論を続けている。こうした動きについては遅すぎると言う指摘の一方で、意見がわかれるテーマであり検討には時間がかかるとの声も。いずれにしても生殖医療の進歩に今のルールが追いついていないことは多くの人が感じている。求められることには国による公的機関の設置が必要で、法律による規制や倫理的問題の検討があり生まれてくる子供の権利を守り、生殖医療の商業化を認めず、障害者への差別に繋げない慎重な運用が求められるあわせて子供を産むかどうかという女性の自己決定が尊重されるそうした社会に結びつける事が大事だという。

キーワード
こども家庭庁厚生省日本学術会議日本産科婦人科学会生殖医療
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