- 出演者
- 池田誠一 岸正浩
オープニング映像。
年金制度見直しの議論が大詰めを迎えている。現在ある「在職老齢年金」では賃金と厚生年金を合わせた額が月50万円を上回ると超えた金額の半分が減らされる。現役世代の保険料負担が大きくなる中で「働いて報酬のある高齢者の年金を減らし年金財政を支えてもらう」仕組みだが、今回の議論では厚労省が3つの変更案を提示している。上限額を62万円、71万円へ引き上げる案のほか、制度そのものを廃止する案などが示された。これらが実行されれば働く高齢者の年金は増加する見込み。去年の内閣府の世論調査では厚生年金を受け取る年齢になった時の働き方について「年金額が減らないよう就業時間を調整しながら働く」と答えた人は44.4%にのぼり、経済界からも見直しを求める声があがっていた。国としては今回の見直しで働き控えに歯止めをかけ人手不足解消につなげたいという狙いがある。一方、年金財源にマイナスの影響は否めず将来の世代の給付が減少する可能性もあり、政府・与党は収入が増える高齢者に一定の税負担を求める案も検討している。
この案とは別に厚労省は今回、年金の財源を増やす案も提示している。現在は月収65万円を超えると保険料が増加しない仕組みが採用されているが、見直し案では65万円の上限を引き上げることが検討されている。これにより経済力の高い人に多くの負担をしてもらうこととなる。今回の議論では、デフレの影響などを受けて財政状況が悪化している国民年金を補うため基礎年金の底上げも検討されている。背景には将来、低年金で生活困窮する高齢者が増加する状況への懸念があり、特に団塊ジュニアの世代でその可能性は顕著となる。基礎年金の底上げを行うには一定期間、厚生年金の給付水準が抑制されるという見通しや国庫負担の1~2兆円増加分をどう確保するのかなどの課題も。国庫負担増加について厚労省は10年以上先だと説明しているが、これにより将来世代の税負担が今より重くなることも考えられている。
- キーワード
- 厚生労働省
エンディング映像。