2026年8月12日放送 23:30 - 23:40 NHK総合

時論公論
円安是正為替介入〜日米協調の背景と迫られる政策

出演者
神子田章博 三輪誠司 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(時論公論)
円安是正 為替介入 日米協調の深層と迫られる政策

日米両政府は7月31日、円安を是正するため外国為替市場で円買いの協調介入に踏み切り、円相場はその後一時1ドル155円台まで円高が進んだ。日本の通貨当局は今年4月にも1ドル160円台後半まで円安が進んだタイミングで単独で市場介入を実施。一時155円台まで円高となったが、その後再び160円台を超える円安となった。日本単独の介入では効果が限定的だという指摘が出る中、日米両政府は5月以降、協調介入に向けた調整を本格化させ入念に準備を進めてきたという。本来、市場原理を重んじ介入に消極的と言われるアメリカが協調介入に応じた背景の1つには、日本で円安によってインフレ懸念が高まり金利の上昇傾向が続くことでアメリカでの金利上昇に波及することを警戒したという見方がある。投資家は金利が上昇して利回りが良くなった日本国債を市場で買う動きを強め、その分アメリカ国債を売る動きが強まるなどの要因でアメリカ国債の価格が下がりアメリカの金利が上昇するなど日米の金利が連動して上昇することが考えられる。

キーワード
スコット・ベッセント協調介入

アメリカ政府はこの秋に議会の中間選挙を控える中で、金利の上昇によるアメリカ経済への悪影響を避けたいという思惑がある。アメリカ国内で長期金利が上昇すれば住宅ローンの金利や企業が投資のための資金を調達する際の金利も上昇し景気に悪影響を与えるおそれがある。さらに金融市場では表に出ないリスクにも注目が集まっている。「プライベート・クレジット・ファンド」と呼ばれる銀行以外の融資業者のノンバンクの経営不安だ。アメリカではリーマン・ショック以降、銀行の貸し出し規制が厳しくなったことで銀行以外の融資業者が機関投資家などから出資を受けて、その資金をもとに比較的リスクの高い企業に融資を行う動きが急速に広がった。主な融資先の一つにITやソフトウェア企業がある。こうした業種の中には生成AIの普及によってこれまで提供してきたソフトウェアサービスの一部がAIに代替されるようになり収益環境が悪化するところも出てきているという。この上、金利が上がればこうした企業の金利負担が増したり資金繰りが悪化して業績が落ち込み、ファンドからの融資を返済できなくなるケースが増え、融資を回収できなくなったファンドの財務基盤が悪化して貸し渋りが広がるおそれもある。日米の協調介入の背景には時刻の経済への悪影響を避けたいという双方の利害が一致した面もあるとみられる。

キーワード
プライベート・クレジット・ファンドリーマン・ショック協調介入

ベッセント財務長官は協調介入の後にNHKのインタビューに応じ、協調介入は日本の政策運営に対するアメリカの信頼を市場に示すシグナルだという考えを示したうえで、日本の製作が着実に実施されていくことを確認する必要があると述べている。円安是正に向けた日本の製作への注文とも受け取れる。まず窺えるのが日本国債の金利の急激な上昇を防ぐこと。ベッセント氏は、日本国債は長年にわたって世界の金利の安定のよりどころとしての役割を果たしてきたとしたうえで、その機能が失われつつあるという認識は市場に好ましくない混乱を生むことになると強調した。ベッセント財務長官が着実な実行を求める日本の政策の中には消費税率引き下げの財源を明確に示すなど財政に対する市場の信任を維持していくことがあるとみられる。もう一つが日銀の適切な金融政策について。ベッセント財務長官は去年、アメリカメディアのインタビューで日銀の金融政策について、利上げしてインフレの問題をコントロールする必要があると述べている。円安の背景には日本の金利が低くアメリカの金利が高い中、アメリカの投資家がより利回りの良いドルで資金を運用しようと円を売ってドルを買う動きが強まっていることがあると言われている。ベッセント財務長官としては円安を止めたいなら日銀が適切に利上げを行うべきではないかという思いがあったのかもしれない。日銀は先月発表した「経済・物価情勢の展望」で点検が必要なリスクとして、これまでの中東情勢に加えてAI関連需要の拡大と為替相場の変動の影響を挙げ、物価の上振れリスクがこれまで以上に高まるという見方を示した。これを受けて市場関係者の間では日銀が9月にも追加の利上げを行うという見方が広がり始めている。日銀の政策判断が円相場に影響する要因として注目される。

キーワード
スコット・ベッセント協調介入日本銀行植田和男
(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

© 2009-2026 WireAction, Inc. All Rights Reserved.