2025年7月22日放送 23:00 - 23:30 NHK総合

最深日本研究
〜外国人博士の目〜 女性オタクを知りたい

出演者
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(オープニング)
”女性オタク”を知りたい

東京・池袋は今、世界から注目を集めている。BL・乙女・コスプレイヤーなど多種多様に広がる女性オタクの世界がここにある。そんな池袋を熱く見つめる外国人研究者がいる。彼女の名前はリロン・アフリアトでイスラエル人の文化人類学者である。リロンはオタク女子ではなく女性オタクだと言っており、オタクは今全世代の女性に広まっているのだという。オタク文化の発信地に深く潜入する外国人研究者に密着した。

キーワード
池袋(東京)
オープニング

オープニング映像が流れた。

”女性オタク”を知りたい
文化人類学者 リロン・アフリアト

リロンは今回8度目の来日となっており、研究データを集めるため10か月の日本滞在となる。この日も池袋で開催されるあるイベントに参加するという。そこには長い列ができていた。リロンも並んだが並んでいるのは女性ばかりで手にはスーツケースを持っていた。実はこれ、国内最大級のコスプレイベントであった。池袋ではほぼ毎月開催され、この月も2日間で約1万5,000人のコスプレイヤーが参加し8割が女性だった。好きなアニメや漫画になりきったコスプレイヤーたちは語り合ったり互いを撮影し合ったり、この空間を思い思いに楽しんでいた。リロンもコスプレで登場した。自分自身がコスプレ好きであることは研究者として最大の武器だというリロン。なぜなら彼女の専門分野は文化人類学で現地のコミュニティーに入り込むことがこの学問の研究の第一歩だからである。リロンは共通の話題を武器にコミュニティーに入り込んで、同じ趣味を持つ者同士打ち解けるのは早かった。打ち解けると連絡先を交換し、お互いSNSのアカウントを教え合うのがコスプレイベントの流儀となっていた。アカウントを教えるために写真入りの名刺を用意している人も多いという。名刺にはQRコードがありスマホで読み取りアクセスするとコスプレ写真が並んでいた。これまでに参加したコスプレイベントでリロンは多くの参加者とのアカウント交換を重ねてきた。リロンは気になったコスプレイヤーにインタビューを申し込み、後日研究者として新たに会うのだという。

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アラスターハズビン・ホテル池袋(東京)

参加者は衣装はもちろん、髪型・メイク・仕草などまで研究して好きなキャラクターになりきる。中でも思いの外目につくのは男性キャラになりきる女性コスプレイヤーたちであった。7年前、リロンはコスプレをテーマに修士論文を発表した。リロンは当事者へのインタビューをもとに男装するコスプレイヤーについて「日本のコスプレイヤーの中には男性の格好をすることで男性の視線を受けずに済む。女性は常に視線を感じておりとても疲れる」と分析していた。研究対象に深く入り込むことで得られた独自の分析であった。気になることがあるとボイスメモで記録していた。オタクと名乗ることに抵抗がなくなったと語るリロンだが、一方でこの風潮と対局にある女性への古い価値観が日本にはあると指摘する。家庭を重視する「良妻賢母」に対し、個人や趣味を重視する「オタク」。伝統とは異なる女性のアイデンティティーがオタクにはあるとリロンは考えている。この日、別のイベントで知り合ったコスプレイヤーからインタビューを受けても良いと連絡が入った。趣味として本格的にコスプレを始めたのは1年前という彼女で月に数回、イベントに参加していた。いつもカフェなどゆったりした場所で現場では聞けなかった話を聞き出していく。主流とは異なる選択をとる「オルタナティブ」。日本人女性は自分をオタクと認めることで、新たな女性像を選択しているとリロンは分析する。女性ポップカルチャーの第一人者である藤本由香里はこのリロンの視点に注目していた。初期の頃は恋愛市場に入れないから趣味に逃げているみたいな言われ方をしていたが、今回の研究では一貫して女性たちの積極的な選択であるとなっておりここまではっきりした視点での研究は珍しいという。

リロンが日本文化に初めて触れたのは12歳であった。アニメ「カードキャプターさくら」を見たのがきっかけだった。2000年代初頭、日本アニメに魅了されたリロン。しかし当時はまだ日本アニメは現在ほどは世界に広がっておらずリロンは周囲からは浮いていた。20歳になるとイスラエルで国内初のオタク組織である「日本アニメ・マンガ協会」を設立。コスプレイベントを開催し、イスラエルにオタク文化を広める活動を行ってきた。そして2008年、日本研究に定評のあるテルアビブ大学へ入学。ここでリロンは一アニメファンから日本研究者の1人となっていく。2015年からは度々来日し、様々なリサーチを続けてきた。そして女性オタクを研究対象に定めたリロンが選んだフィールドは池袋だった。2000年代、池袋には女性向けの商品をメインに扱うアニメショップが増え始めていた。やがて女性オタクに関係する様々なショップが集まり、世界的に見ても特別な街へと変化していく。女性のオタク文化を発信し続ける池袋はもはや街そのものがリロンの研究対象でもあった。池袋では至る所で見かける「痛バッグ」通称:痛バは女性オタクの象徴だという。自分の推しキャラを周りに知らしめるため、バッグの表面には缶バッジなどがずらりとついていた。リロンのかばんも痛バとなっていた。このアパレル店は10年前から痛バの販売を始めたが徐々に販売スペースは広がり、今や主力商品になったという。女性オタク文化の変化は早く、リロンは現場に足を運ぶことでより新鮮な情報を得ている。

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あんさんぶるスターズ!!にじさんじカードキャプターさくらテルアビブ大学池袋(東京)痛バッグ

イスラエルで情報を得て、今回ぜひ直接自分の目で確認したかった場所があった。訪ねたのは仏壇のお店である。そこには「推し壇」という自分の好きな推しを飾るためのオタク向け祭壇があった。開発者の郡司茉采さんに話を聞き予想を超える売れ行きだという。池袋にはオタクの様々なニーズに応えようとする店が増え続けているとリロンは感じていた。リロンが次に訪ねたのはカラオケ店で女性オタク向けのサービスがあるという。運ばれてきたのはミシンであり、ミシンレンタルのサービスがあるとのこと。作業スペースが広く音が漏れないカラオケルームは衣装を作るのに最適であった。このサービスをよく利用するリロンはコスプレイベントが近づくと予約が取れないという。続いて訪ねたのはカフェで女性オタクの趣味の1つはタイBLのドラマとのこと。日本で生まれた文化であるBL=ボーイズラブは今や世界中に広がっている。特にタイではBL熱が高く、多くのBLドラマが制作されて大人気となっている。逆輸入的に日本でも火がつき「タイBL」というオタクカテゴリの1つになった。リロンはタイBLファンが集うこのカフェで調査を行う。極力邪魔にならないよう店に許可を得て、調査の様子を固定カメラで捉えることにした。そこでリロンはお客さんに手作りポストカードを渡していた。リロンは会話の中からも日本の女性オタクの特徴を捉えようとする。そこには「母の会」というファンクラブを結成した女性もいて店の飾り付けも手伝っていた。

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池袋(東京)

池袋の街から発信される女性たちのメッセージ。そこにある秘密を読み解こうとするリロン。「女性オタクとは何か?」についてリロンは「女性オタクとは日本の女性の新しい生き方だと間違いなく言えるでしょう」とのことだった。女性オタクの世界は新しく深かった。

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池袋(東京)
(エンディング)
次回予告

「最深日本研究」の次回予告をした。

(番組宣伝)
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