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1970年代、日本赤軍は世界中で数々の事件に関わった。警察は要求に応じ、受刑者らの解放などニ度の屈辱を経験する。のちに特別チームを結成し、11人のメンバーと最高幹部だった重信房子の逮捕に成功。番組ではその極秘捜査にスポットを当てる。
1977年、バングラディシュ・ダッカで日本赤軍はハイジャック事件を起こし、受刑者らの釈放を要求した。政府は超法規的措置として要求を受け入れ、警察は屈辱を味わった。警察庁は特別チームを結成し、メンバーには国際手配された重信房子らの追跡を命じられた。捜査官6人、キャリア組3人、外国語が堪能な3人が集められ、キャリア組の1人が平沢勝栄氏だった。日本赤軍はレバノン・ベイルートに根拠地を置いていて、平沢氏は現地で情報収集を開始。警察が嗅ぎ回っていると日本赤軍に知られれば、報復しないとも限らないと大使館はレバノンには入らないよう要請していたという。平沢氏は申し訳ないとも思いつつ、大使館にもバレないよう慎重を期した。だが、現地の捜査機関とのツテ、ノウハウが乏しく、頭を下げてお願いすれば、向こうが死に物狂いで情報を入手してくれるなど夢物語だと痛感した。一方、日本赤軍の最高幹部だった重信房子は中東、社会主義国の実力者らと結び付きを深めていた。
80年代、警察は30カ国以上の大使館に警察官を警備官として派遣した。西側諸国を中心としたインテリジェンス機関との連携が目的だった。83年、ベイルートのアメリカ軍施設で爆破事件が起き、241人が死亡。テロリズムは安全保障上の脅威とみなされていく。各国も日本赤軍の情報を求めていて、元警察庁長官の国松孝次氏は日本の存在感が高まっていくのを実感した。旧東ドイツの秘密警察、シュタージは日本赤軍がインターポールの要職についていた川田晃氏を誘拐しようとしているという情報を入手。部下だった山根眞五氏は対応に追われたが、事件は起きなかった。
95年、ルーマニアで日本赤軍メンバーが拘束された。パスポートは偽造で、ペルー人を装っていた。さらに別のメンバーがペルーに潜伏していることがわかり、特別チームの平林新一氏が現地へ向かった。捜査当局から外国人として登録している人物ファイルを借りることができ、日本から持参した手配書と照らし合わせた末、潜伏メンバーの逮捕に至った。また、レバノンの首相、政府関係者らが来日し、日本政府は経済協力を申し出た。その裏で特別チームはレバノン側に捜査協力を持ちかけた。97年2月、日本赤軍のメンバー5人がレバノン当局に拘束された。その1人が岡本公三で、25年前にイスラエルの国際空港で銃乱射事件を起こした。終身刑を言い渡されたが、捕虜交換の対象として釈放され、レバノンに渡っていた。岡本だけは政治亡命が認められ、レバノンにとどまった。国松孝次氏によると、アラブ諸国では日本赤軍と連携し、世界革命を起こそうとする力も意思も失われていったという。
重信房子は偽造パスポートで日本に入国していたが、2000年に大阪で逮捕された。捜査関係者によると、あさま山荘事件、ダッカハイジャック事件に関わった坂東國男も大阪に潜伏しているという情報を入手していたが、最高幹部である重信の逮捕を優先した。2022年、重信は20年の刑期を終えて出所。パレスチナ問題について、講演や執筆活動を続ける。国松孝次氏は重信の逮捕をスイスで聞いた。同氏は日本赤軍を追及する過程で、日本の警察力の強化に繋がったと振り返る。
エンディング映像。
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