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カンボジア、タイなど東南アジアの各地で大規模な詐欺拠点の摘発が相次いでいる。カンボジアでは1度に29人の日本人が拘束されたが、詐欺グループの末端にすぎないという。詐欺拠点から送られてきたという1通のメールから、番組では取材を進めた。
4月、60代の女性は離れて暮らす息子から電話があり、「カンボジアにいる」と言われたという。SNSではかけ子をしていたとみられる男性がミスをしたペナルティとして、暴行を受ける映像が拡散された。女性は息子が詐欺に関わっているのではないかと疑ったという。
中国資本を受け入れてきたカンボジアでは政府が詐欺対策チームを発足させた。詐欺に関わったとして、中国人、ベトナム人など4300人以上が逮捕されている。日本人の関与も相次いでいるといい、日本人コミュニティがあるプノンペンで取材を進めた。飲食店を経営する男性が匿名を条件に取材に応じ、日本人の紹介を持ちかけられたという。メールによると報酬として3000~4000ドルを提示されたが、男性は応じなかった。その後、取材班は身分を偽り、笵という60代の中国人女性と接触。日本人のかけ子を募集しているが人材が不足しているという。女性は「一度、詐欺拠点のなかを案内してやる」と持ちかけた。
ベランダから外に出られない構造の建物で特殊詐欺が行われているケースが報告されている。取材班は隠しカメラを携えて詐欺拠点の1つを訪れると、趙という中国人が出迎えた。複数の国をターゲットに詐欺を行っていて、日本の高齢者は多くの資産を持ち、騙しやすいという。テレビ電話の際にはAIで姿形、声を変えている。かけ子らは拠点内で共同生活を送っていて、料理人がいる食堂も備えていた。外出は許可が必要で、成績不振だと女性は売春させられるという。拠点を取り仕切っているという趙は軍の関係者に賂を渡し、摘発を免れていると話す。日本人を募集中からなのか、取材班に「詐欺のシナリオを描いたのは台湾人」と話すなど、饒舌だった。政府の詐欺対策チームでは背後に誰がいるのか、特定には至っていないという。
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- シアヌークビル(カンボジア)
特殊詐欺の被害額は一度、減少したことがあったが、秘匿性の高い通信手段で連絡を取り合う「匿名・流動型犯罪グループ」が台頭。フィリピンのいる指示役が日本国内の闇バイトを操っていた。。特殊詐欺の被害額は昨年、約2000億円にのぼった。
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- 匿名・流動型犯罪グループ警察庁
6月、住吉会系、準暴力団のチャイニーズドラゴンの幹部らが詐欺の疑いで警察に逮捕された。山梨県内のホテルでは中国系マフィア「14K」と盃事を交わしたという。暴力団の資金源は特殊詐欺、薬物に絞られ、国内の収入源(シノギ)は先細っている。加えて、警察による取り締まりは強化されている。そこで、以前は敵対していた組織とも手を組み、金に困った者たちを集めて海外へ送り込んでいる。海外組織に委託することで確実な収入が見込まれているという。チャイニーズ・ドラゴンは日中双方の組織とコネクションがあり、関係者は「中国、香港で詐欺をはたらいて逮捕されると量刑が厳しい。だから、日本に照準を合わせているのでは」と語った。東南アジアの詐欺拠点について分析を進めるジェイソン・タワー氏は「中国の腐敗摘発キャンペーンにより、非合法勢力は東南アジアに流れ込んだ」と話す。14Kはミャンマーの工業団地に多額の投資を行い、詐欺拠点化しているとされる。国連が昨年にまとめた報告書によると、14Kの古参幹部は他の地域でも詐欺拠点に関与しているという。
警視庁は組織改正に乗り出し、情報分析、作戦立案にあたるための部署を設置した。また、東南アジア諸国との連携も急いでいる。8月、警察庁幹部がフィリピン、マレーシアを相次いで訪問した。10月、カンボジアを拠点に日本人から金をだまし取ったとして中国人、日本人の合わせて3人が逮捕された。
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- マニラ(フィリピン)警察庁警視庁
息子がカンボジアに行ったきり、帰ってこないという60代の母親は「とりあえず帰ってきてちゃんと真面目にしてほしい」と話す。その後、息子は別の親族に「詐欺に関与している」と告白していたことがわかった。
エンディング映像。
