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土地の所有者、相続人になりすまして偽の取引を持ちかける詐欺集団「地面師」を特集。大手ハウスメーカーから55億円あまりをだまし取ったとして、10人が起訴された。今年、主犯格から手紙が寄せられ、「黒幕は他にいる」と記されていた。
地面師によって渋谷区内の土地を舞台に6億円あまりがだまし取られた他、ホテル用地を巡って12億円余りの被害額にのぼる事件も起きた。当番組では大手ハウスメーカーから55億円の巨額をだまし取った事件を特集する。主犯格のカミンスカス・操は懲役11年が確定したが、「他の人物の指示に従っただけ」などと綴った手紙をNHKに宛てていた。
書類の偽造に関わったことのある人物によると、免許証、パスポート、印鑑証明など10万円でできてしまうという。今回の事件では偽造した人物は1人も逮捕されていない。
今回の事件で逮捕されるも不起訴となった人物が取材に応じた。1億6000万円を受け取ったが、悪銭は身につかなかったという。捜査二課で捜査を指揮した坂井明徳氏は地面師グループを一網打尽にする難しさを明かした。
戦争で多くの人が亡くなり、土地の書類が消失したことで、地面師詐欺は終戦直後から行われていた。不動産価格が高騰した80年代、被害は頻発した。積水ハウスが被害にあった事件には現代地面師が集結したようなものだという。
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土地、なりすましに関わる人材、偽造書類を整えた地面師たちは業者を通じて偽りの売却情報を流し始めた。ある不動産仲介業者の男性はおいしい案件だと感じたが、面会時に老舗旅館の女将の身内がだれもいないなど、疑念を覚えたという。男性は案件から手を引いた。
取材に応じた不動産会社はこちらから身元確認を求める前に地面師グループは書類を提示してきて、会話のなかでも不審に思うことがあったという。同社からすれば巨額の投資は失敗できず、五反田の老舗旅館周辺でリサーチを重ねたことで危険を回避できた。
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ある中間業者は積水ハウスマンション事業部のある幹部と面識があり、五反田の土地の購入を持ちかけた。法的効力を持つ公正証書ではなりすましの女を所有者本人と認めていて、積水ハウスでは土地の購入を急ピッチで進めていった。業界に情報が知れ渡るなか、地面師詐欺だと疑っていた業者は積水ハウスに連絡するも、取り付く島もなかったという。積水ハウスのグループ会社で社長を務めていた松吉三郎氏も連絡を入れたが、「横槍を入れるな」と指摘されていた。実は積水ハウスにはある文書が4度にわたり、送られてきた。差出人は土地を所有するおかみで、「別人が私になりすましている」、「売却意思は皆無」などと記されていた。だが、積水ハウスは他社の妨害工作などと疑い、本人確認を見送った。五反田エリアの営業担当だった元社員は所有者と何度か面会していて、会社に届いた写真を見て、「たぶん違うと思う」と回答。だが、上司は確度の低い情報だと経営幹部に報告しなかった。
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決済前日、なりすましの女は干支を間違えたが、地面師グループの男が取り繕った。だまし取られた金額は55億599万円。事件後、積水ハウスは複数の再発防止策を実行している。大阪・関西万博に沸く大阪では新たな被害が発生している。巨額詐欺の舞台となった東京・五反田の土地にはタワーマンションが建設され、土地を所有していた女将は他界したという。
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