- 出演者
- 渡邊佐和子 佐藤二朗 宮本一夫
今回、中国・四川省の古代文明を調査する。
- キーワード
- 四川省(中国)
オープニング映像。
今回、3000年前の中国の古代文明を調査する。当時、日本は縄文時代の末期だった。秦の始皇帝の時代から、約1000年前でもある。どのような人たちがどんな生活を営んでいたのか、なぜ、文明は滅んでしまったのか、全く分からないという。
23年にオープンした三星堆博物館では1万5000点もの出土物が展示され、観光客で賑わっている。頭部だけの像は100点以上にのぼり、険しい表情もあれば、優しさを醸すものもあるなど、種々様々。当時としては世界最大の青銅器、金の出土物も発見されている。当時、青銅器は粉々の状態で発掘されていて、「儀式に用いていたけれど効き目がなくなったので壊した」、「政治的動乱で埋めざるを得なかった」など様々な説が唱えられているが、解明されていない。
段渝教授は「人、動植物を偶像で表すのは西方文明の伝統」と話す。三星堆の青銅器も偶像を特徴とする。古代メソポタミア文明で作られたレリーフには聖なる樹が彫られ、繁栄や豊穣を意味しているという。また、西方文明で杖は王権を表し、王の姿とともに頻繁に描かれた。三星堆の杖も王権の杖であり、刻まれた模様は三星堆の王の符号とみられる。
中国・湖北省の遺跡群から光沢のある石、玉が見つかった。青銅器が普及する前、祭祀の道具として用いられた。三星堆の青銅器とは違いがあるものの、形状は似ていて、どちらも信仰にまつわる神、人を偶像化しているという。距離にして1500kmも離れているが、長江で結ばれている。また、三星堆は黄河流域にあった殷王朝ともつながりがあり、殷の青銅容器を取り入れたのかもしれない。
宮本一夫名誉教授によると、長江中流域で始まった稲作農耕は三星堆にも伝わったという。また、三星堆の遺跡からはタカラガイが多数出土している。南方の海で育つ貝であることから、三星堆は南方とも交易を行っていたと考えられる。そんな三星堆がなぜ滅亡したのかが一番の謎で、宮本氏はぜひとも解明し、今の文明社会に役立つのではないかと期待を寄せる。
「歴史探偵」の次回予告。