2023年9月1日放送 23:15 - 23:30 NHK総合

漫画家イエナガの複雑社会を超定義
なぜ地震って予知できないの?

出演者
橋本マナミ 町田啓太 
(漫画家イエナガの複雑社会を超定義)
備えあれば憂いなし!なぜ地震って予知できないの?の巻

南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの発生も予測されている地震大国日本。しかし、地震がいつ、どこで、どのくらいの規模で起こるのかは現在の科学では分からない。正確な地震予知は不可能だと断言する専門家もいるが、その難題に挑み続ける人たちもいる。今回はそんな地震予知について特集する。

キーワード
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「地震予知」とは、いつどこでどのくらいの規模で地震が起きるのかを科学的根拠を元にして発生の直前に予め知らせてくれること。去年、南米のチリで3800年前に発生したM9.5の巨大地震の痕跡が発見された。つまり巨大地震なかなり昔から起きており、地震予知も昔から挑戦されてきた。世界最古の地震計は中国で後漢時代に張衡が発明したもので、地震の発生と揺れた方向を知ることができるという原始的な仕組みのもの。本格的な地震観測ができるようになったのは19世紀で、ユーイング-グレイの円盤式地震計は3つの針で東西・南北・上下の揺れを記録する。20世紀初頭の日本では、東京帝国大学の大森房吉教授が地震の波を徹底分析し、大森公式を割り出した。大森公式は現在の緊急地震速報にも応用されている。大森教授の教え子の今村明恒博士は巨大地震が起きる周期に注目し、関東大震災の発生を予測した。巨大地震が周期的に起こるという説は、現在でも南海トラフ巨大地震の発生確率などに重宝されている。日本は1965年、国家的事業として「地震予知研究計画」を発足し、以降34年継続して全国各地に観測網を設置するなどしたが、特に成果は上がらなかった。1968年、プレート・テクトニクス理論が提唱された。プレート・テクトニクス理論とは、プレートの運動によって地学の様々な現象を説明できるとする理論。プレートの動きに着目すれば巨大地震も予知できるかもという期待が膨らんだ。1995年、日本では阪神・淡路大震災が起きた。この地震を引き起こしたのは断層で、プレートではなかった。断層が突然動いたことで起きた地震で、研究者たちは地震予知の限界を感じた。2011年の東日本大震災は研究者たちの想定外の場所と規模で発生した。翌年、日本地震学会は現在の地震学では時間と場所と大きさを特定する地震予知は非常に困難だとする見解を発表した。地震予知ができないことは具体的に、物理的に無理(活断層の活動を詳細に観測するのは困難)、データ不足(巨大地震の周期に対して情報が圧倒的に足りない)、メカニズムが不明(プレート境界の形など分かっていないことが多い)、という3つの理由がある。しかし一方で、阪神・淡路大震災や東日本大震災を糧に日本の地震学は大きく発展している。短期的な予知から長期的な予測に路線を変更し、観測網も広く張り巡らせていった。近年、人が感じないスロー地震などについても分かってきた。スロー地震は巨大地震が発生した場所で確認され、その因果関係に注目が集まっている。AIを使ったスロー地震の解析も進められている。関東大震災の死者の8割以上は火災によるもので、阪神・淡路大震災の死者の約9割は建物の倒壊によるもの、つまり地震の揺れそのものではなく、文明が破壊されることにより被害が広がっている。地震に備えた心構えとして、家具の転倒防止や、連絡手段やハザードマップを確認しておくこと、避難経路を事前に考えておくこと、などが大切である。

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