2024年12月23日放送 22:45 - 23:15 NHK総合

神田伯山の これがわが社の黒歴史
選(7)カルビー 夢の製造ラインの誤算

出演者
神田伯山[6代目] 
(オープニング)
今回は・・・

神田伯山が企業の黒歴史を講談でお届けする。今回、物語を演じるのは「メダロット」。

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メダロット
(神田伯山のこれがわが社の黒歴史)
食品メーカー “夢の製造ライン”の誤算

神田伯山はポテトチップスで有名な「カルビー」を訪れた。オフィスの会議室の名前は主力商品のブランド名になっている。カルビーは昭和24年に広島で創業、昭和30年に日本初の小麦製あられを製造した。その後もヒット商品を生み出し、売上高は約2500億円だという。黒歴史を生み出した張本人は江口聡さんと赤宗健吾さん。黒歴史となった商品が「ひとくち美膳」。平成17年、カルビーは大変革の時を迎えていた。新商品を生み出すために立ち上げられたのが「ドリームブランドプロジェクト」。プロジェクトのリーダーに抜擢されたのは江口聡さんだった。ジャンルは「健康」、ターゲットは「働く女性」に絞り、新商品「ひとくち美膳」が出来上がった。しかし、製造の過程が複雑だったため、製造部門は戸惑った。そこで焼き菓子製造のスペシャリスト・赤宗健吾さんに声がかかった。江口聡さんは当時を振り返り、料理学校に1年間通って勉強したと話した。最後は薬膳の国際資格も取ったという。

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かっぱあられひとくち美膳カルビーメダロット広島県

赤宗健吾さんに託されたのは製造ラインの構築だった。清原工場は会社の主力工場だったが、ほとんどの場所はスナックとシリアルの製造ラインが占めていた。与えられたスペースでは狭かったにも関わらず、当時は新工場を建設する時間がなかった。苦肉の策として赤宗健吾さんが考えたのが、3つのフロアを縦に使う立体構造の製造ライン。通常ではあまり見られない滑り台のような傾斜をつけたラインを作らざるを得なかったという。その後、赤宗健吾さんは焼き菓子製造に必要な機械を次々を集めた。赤宗健吾さんは当時を振り返り、どうすれば大量生産できるかを考えるのは燃える作業だったと話した。

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ひとくち美膳カルビーカルビー清原工場

会社はひとくち美膳の発売日を2011年3月に定めた。赤宗健吾さんたちは1日だって遅れてはならないと思い、動作テストの期間を削ったという。2010年末、ぶっつけ本番状態で全国向けの大量生産を始めた。しかし、材料となるイチジクの周りに葉っぱや枝の切れ端が混ざっていた。創業以来、品質管理にこだわり、厳しい基準を守っている会社にとっては見過ごせなかった。営業やマーケティング部門の社員を総動員して手作業で取り除いた。次の問題はカッターで切った断面に出てきたショウガのひげ。お菓子よりも長いショウガのひげが出ており、最新のカッターでも切れなかったという。赤宗健吾さんは当時を振り返り、上層部からものすごく怒られたと話した。次の問題は傾斜のあるラインからこぼれ落ちるひとくち美膳。結局、人海戦術で昼夜を問わず、ひとくち美膳をひとつずつ綺麗に並べ直したという。なんとか発売開始には間に合ったが、ロスの多さは改善できず、トラブル処理のためのコストばかりがかさみ、作れば作るほど赤字になった。売れ行きもぱっとせず、わずか1年半で終売となった。江口聡さんは当時を振り返り、スーパーなどに行った時、半額で売っているのが残念だったと話した。

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会社はその後、朝食市場を狙ったシリアル系商品の販売で大成功した。大幅な増産を求められた時に役に立ったのが工場に残されていた赤宗健吾さんのレポート。ひとくち美膳の教訓が引き継がれ、需要に対応できるラインを短時間で作ることができた。その後、赤宗健吾さんはシリアル部門の責任者に就任し、今でも工場の製造ラインの現場で働いている。江口聡さんはマーケティング部門のトップとして会社の販売戦略を引っ張っている。赤宗健吾さんは黒歴史とは成功の途中だと話した。また、江口聡さんは失敗をして解決することで次につながると話した。

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