- 出演者
- 伊野尾慧(Hey!Say!JUMP)
オープニング映像。
舞台は福岡・北九州市。老朽化のため解体する巨大風車。タワーは高さ65m。響灘風力発電所の年間発電量は約3500万kWh。全部で10基を5か月で解体しなければいけない。極狭エレベーターで65m上のナセルへ。ここから先は垂直梯子で上を目指す。ナセルは16帖のスペースに羽のシャフトや発電機などが置かれている。ナセルの上から出ると外へ。とび職人の梅友さんに作業を教えてもらう。今回の解体では巨大なクレーンで風車をパーツごとに吊り下ろす。最初に重さ30トンを超える羽。とび職人たちがクレーンのつり具を取り付ける。2人1組で行い1人は羽の接続部の先っぽに立たなければならない。
日々高所で働く梅友さんたちとび職人。常に安全意識を失わないよう続けていることがある。それは作業の後、単身赴任先のアパートで行う。リーダー格のベテランが自主的に解体日誌を毎日書いている。 その日の反省点や翌日の作業の課題など多いときはノート2ページほども書き込む。梅友さんは学校の勉強は嫌いだが解体日誌は好きだと話した。その日の天気など1つとして同じ状況はない解体現場で絶対に事故は起こさないという思いから解体日誌で安全意識を高めている。
羽つり下ろし作業の日、梅友が合図を出し大型クレーンを誘導する。クレーンを操縦するのは岩元。取り外した羽はこの赤いエリアに下ろす。ほかのスペースは雑草が茂っているため大型クレーンは風車の後方に置かなくてはならないため余計に難しい。羽とナセルはボルトで固定されている。羽の重さは約32トン。ポイント1、クレーンで羽をつる際ワイヤーロープを垂直にする。ポイント2、クレーンでつる力は羽の重さと同じにする。もしクレーンの力の方が大きいと外れたとき上に跳ね上がってしまう恐れがある。逆に小さいと羽の重さに負けてバランスを崩す。岩元は梅友の合図を頼りにこの難作業に挑まなければならない。まずクレーンと羽をつなぐ玉掛け作業。垂直になるよう梅友が誘導する。風速を確認しながら羽を外す。ボルトの数は44本。羽をナセルからそっと引き抜こうとしたとき上が狭く下が開いていることに気付いた。梅友はクレーンが羽を上に引っ張りすぎていることが原因だと考え岩元に指示を出した。しかし状況は全く変わらない。クレーンの力をさらに弱めると羽が水平になったためかボルトが動き始めた。本来ならば荷重は32.5tでつり合っていなければならないが今クレーンの力は29.8tで3t近く足りない。このまま取り外せばバランスを崩す恐れがある。想定外の事態に緊張が走る。さらに天候が悪化し雷雨が接近しているという。そのとき作業を下からうかがっていた岩元が80m上空のクレーンのブームが20cm後方にズレているのではと気付いた。クレーンでつる力を強めながら同時に微妙に動かしながら44本のボルトが抜ける位置を慎重に探る。作業開始からおよそ1時間、羽はナセルから無事に取り外された。羽が地上に下ろされ難関ミッション大成功。作業が終わると同時に現場は雷雨に見舞われた。翌日には天候が回復し風車の解体作業が進んだ。4日後、1基の風車が無事に解体された。
- キーワード
- ナセル
風車は解体されたあとにもリサイクル問題が残されている。鉄でできているタワーはガス溶断で小さく分けられ再び建築現場などで使われる。羽はGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)という軽くて強い素材。小型船舶の船体やバスタブなどに使われている。しかし廃棄されるGFRPのほとんどが埋め立て処分されている。1年間で30万tと推計されている。
- キーワード
- GFRP
取り壊された建造物からはコンクリートや鉄などさまざまな廃材が出てきます。その多くは分別され再び土木や建築現場で再利用されます。リサイクル率は97%で世界でも有数の高さを誇ります。ところがGFRPに関してはリサイクルがなかなか進まない。理由はガラス繊維とプラスチック樹脂が複雑に絡み合っているから。GFRPとして再生させることもガラス繊維とプラスチック樹脂に分けることも難しいのです。それでも現在世界中でなんとかリサイクルしようと研究が進められている。
この日、伊野尾が向かったのは崇城大学。GFRPのリサイクル研究をしている池永教授は電子レンジが発するマイクロ波を使ってGFRPを分解する仕組みを教えてくれた。この研究には18年を要したという。
エンディング映像。
「NHK+」でもご覧いただけます。
- キーワード
- NHKプラス
「解体キングダム」の番組宣伝。