2024年3月16日放送 22:00 - 22:50 NHK総合

NHKスペシャル
廃炉への道2024 瀬戸際の計画 未来はどこに

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オープニング

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東日本大震災から13年、福島第一原発では建物の劣化が進み、今後、放射性物質が飛散するおそれもあるという。この10年、核燃料デブリを取り除くべく様々な試みが行われてきたが、壁に阻まれている。廃炉はいつまで続くのか。未来を模索する現場を取材する。

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原子力規制庁東京電力炉心溶融福島第一原子力発電所福島第一原子力発電所事故電力中央研究所
(NHKスペシャル)
原発事故から13年 廃炉はどこまで進んだのか

福島第一原発の廃炉に向け、これまでに約2兆円が投じられ、約4000人が作業にあたっている。先月から住民を対象にした説明会が開かれた。24歳と同い年の井出菜々さん、大雅さんは福島・富岡町で暮らし、廃炉に向けた作業が安全に進められることを願っていた。11年12月、国と東京電力は廃炉の道筋を示すロードマップを発表。21年までに核燃料デブリの取り出しをスタートさせ、36年までに完了。建屋の解体、処分も始めるというもので、最長40年の道筋を示した。小学生の時に震災を経験し、県外へ避難をしていた井手夫妻は富岡町で子供を育て、復興を支えたいと考えているが、廃炉が予定通りに終了するのか憂慮していた。

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富岡町(福島)東京電力東日本大震災福島第一原子力発電所
揺らぐ「最長40年」核燃料デブリの壁

核燃料デブリとみられる塊の姿を捉えたのは2017年で、触れることができるのに2年の月日を要した。今月、数グラムのデブリを取り出す予定だったが、延期を余儀なくされた。デブリの総量は880トンにのぼるとされる。原子力規制委員会の委員長を務めた更田豊志氏のもと、国内外から研究者、技術者が集められ、原子炉建屋の地下にトンネルを掘って基礎を固め、周囲に壁を張り巡らせて巨大な構造物をつくる。そこに注水し、放射線の影響を抑えながら核燃料デブリを取り出すという新たな工法を思案したが、準備だけで膨大な時間を要する。それとは別に充填固化工法というものがあり、放射線を遮蔽する充填剤を使う。準備期間は比較的短くすむが、研究段階にとどまっている。

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スリーマイル島原子力発電所充填固化工法原子力損害賠償・廃炉等支援機構原子力規制委員会東京大学東京電力東日本大震災港区(東京)福島第一原子力発電所
揺らぐ「最長40年」止まらない汚染水

福島第一原発では汚染水が毎日約90トン発生し、対策を施したとしても50~70トンは発生するという。廃炉に向けたロードマップでは2020年には建屋内の汚染水をゼロにするはずだったが、計画は見直されている。

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東京電力福島第一原子力発電所
揺らぐ「最長40年」 未来はどこに

更田豊志氏は「いちばん考えなければならないのはあの事故で被害を被った人がこれからの取り出し作業をどう思うかが大事だと思う」と話す。

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東京電力福島第一原子力発電所
住民との「合意形成」あらわになった課題

国と東京電力は福島第一原発の敷地内に貯まり続けていた処理水のタンクを放置してはいけないと、23年に基準を大きく下回る濃度に薄めて海洋放出を開始した。国が住民の意見を聞いたのは18年の公聴会で、新妻竹彦氏ら漁業者が疑問、不安をぶつけても対話には発展しなかった。海洋放出が現実的だと提言した国の委員会で委員を務めた崎田裕子氏は「きちんと対話の場を続けている組織や動きに関しては信頼をする。そういう関係が醸成されてくることが具体的な問題解決を話し合うときには大事だと思う」などと語った。

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いわき市(福島)久之浜港東京電力福島第一原子力発電所
住民との「合意形成」スリーマイルの模索

79年3月28日、スリーマイル島原発では機器の不具合、人的ミスが重なり、原子炉の1つでメルトダウンが発生。90年、核燃料デブリの取り出しをほぼ完了し、建屋の解体に向けた準備が始まっている。技術者たちは当初、原発と隣接する川に処理水を放出する方針だったが、住民たちが猛反発。事故直後から陣頭指揮にあたったレイク・バレット氏らは事業者、住民を繋ぐ市民パネルをつくり、「時間をかけて相手の話に耳を傾け、共感を示すことで信頼を勝ち取らねばならなかった」と振り返った。住民たちはいかなる放出も受け入れられないと主張していたが、処理水を保管し続けるリスクについても議論を深め、事業者から示された大気への放出に同意した。住民たちとの議論は廃炉が完了するまでの2037年まで継続されるという。

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スリーマイル島原子力発電所ペンシルベニア(アメリカ)
住民との「合意形成」スリーマイルと福島

国と東京電力は10年ほどで核燃料デブリの取り出しを終えたスリーマイル島原発の廃炉を参考に、廃炉に向けたロードマップを作成した。ただ、スリーマイル島でメルトダウンが発生したのは1つの原子炉に対して、福島の場合は3つの原子炉。加えて、格納容器も損傷するなど、廃炉作業の難航が予想される。

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スリーマイル島原子力発電所東京電力福島第一原子力発電所
欠かせない「対話」 芽生え始めた変化

3月8日、更田豊志氏は準備に時間を要する冠水工法よりも充填固化工法のほうが有望だと判断したが、国や東京電力に対して、住民との対話を通して状況を共有するべきなどと提言した。2年前から2カ月に1度、1F(福島第一原発)地域塾が開かれ、国の原子力規制庁、東京電力の職員が住民たちと対話する。参加者のなかに井手大雅さんの姿があり、廃炉作業が遅滞し、次世代に負担を強いることになるのではと不安を口にした。廃炉の技術的支援を行う原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名理事長は住民との対話には課題があると感じるも、歩み寄りが必要と考える。

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スリーマイル島原発原子力損害賠償・廃炉等支援機構原子力規制庁広野町(福島)早稲田大学東京電力
日本が背負う「廃炉」 どう向き合うのか

原発事故に伴う除染作業で出た「土」について、国は放射性物質の基準が下回ったものを再生利用する方針。ただ、地元の理解は得られず、開始の目処は立っていない。廃炉と福島の復興に日本の人々がどれだけ目を向けていけるのか、1人1人が問われている。

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福島第一原子力発電所事故
未来はどこに 向き合い始めた若者たち

東京の学生グループは廃炉について考えるため、福島に通い続けている。また、東京大学大学院の横山諒さんは中学時代に震災を経験し、農作物の直売所を営む家族が風評被害に悩まされる姿を目の当たりにした。現在、核燃料デブリの性質を研究していて、人生をかけた事業だと腹に決めていた。

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広野町(福島)東京大学東京電力郡山市(福島)
(エンディング)
エンディング

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