2025年3月29日放送 22:00 - 22:50 NHK総合

NHKスペシャル
追跡 自由診療“ビジネス”トラブル続出の美容医療 そして

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(オープニング)
今回は...

美容医療のニーズが高まるなか、トラブルも続出している。美容医療は保険診療とは異なり、自由診療のため医師の裁量で料金・治療内容を自由に決められる。思わぬ後遺症に悩まされる人もいる。

(NHKスペシャル)
拡大する美容医療 高まるニーズ

美容医療などの自由診療は公的な医療保険が適用されず、医師の裁量で料金などを自由に決めることができ、費用は患者の自己負担となる。保険診療の場合、治療内容や金額は厳格なルールのもとで運用されている。美容医療のニーズが高まり続ける一方、トラブルも急増。日本医科大学付属病院では美容医療による合併症、後遺症に悩む人を受け入れていて、患者数は5年前と比べて約6倍に。30代女性は昨年9月、顎下のたるみを引き締める施術を受けたところ、大きく腫れ上がり、しこりのようなものが残ってしまったという。

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日本美容外科学会立川(東京)
美容医療 トラブル急増 思わぬ後遺症が

日本医科大学付属病院では美容医療による合併症、後遺症に悩む人を受け入れていて、患者数は5年前と比べて約6倍に。30代女性は昨年9月、顎下のたるみを引き締める施術を受けたところ、大きく腫れ上がり、塊のようなものが残ってしまったという。国民生活センターには健康被害、契約上のトラブルなどの相談が寄せられ、8000件を超えている。未承認のジェル状の充填剤を豊胸のために注入する施術があるが、海外では危険性が指摘され、日本でも学会が警鐘を鳴らす。ある女性は数年前に200万円をかけて施術を受けたところ、痛みに悩まされ、都内のクリニックを訪れた。治療費は200万円にのぼった。

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国民生活センター日本医科大学付属病院

美容医療には新規参入が相次ぐなか、自由診療のため、行政の指導、監査が限定的。利益を追求するあまり、安全性をおろそかにするクリニックもある。

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日本医科大学付属病院
美容医療 トラブル続出 利益追求の先に

大手美容クリニックの元医師が取材に応じ、より利益を上げるために高額なプランを勧める役割を担うカウンセラーがいて、施術を行う医師は使役されていたかのようだったという。40代の結衣さん(仮名)は3年前、鼻と目の施術を受けた。20万円ほどをかけ、鼻を高くするプランを考えていたが、カウンセラーは「メスを入れないと期待通りの効果は得られない」、「きょうだったら、割引します」などと言葉巧みに誘導。結衣さんは断ろうとすると、医療ローンを提案された。結衣さんは月2万円の60回払いの契約を結び、施術を受けたものの生活に支障を来した。国は法令に基づき、医療広告のガイドラインを定めている。別のクリニックよりも優れていることを謳う「比較優良広告」、「主観に基づいた体験談」、「ビフォー・アフターを示すだけの症例写真」は禁じられている。厚生労働省によると、違反広告は昨年度だけで2800件余。

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厚生労働省

20代の美咲さん(仮名)は鼻を高くしたというインフルエンサーの投稿を目にし、同じ医師のもとで施術を受けた。その様子は成功例として医師のSNSに投稿された。だが、鼻の穴が小さくなりすぎて呼吸が苦しくなり、美咲さんは医師に連絡したものの、退職していたという。鼻炎薬を常備せざるを得なくなるなど、美咲さんの生活は大きく変化した。

広がる美容診療 より若い世代にも

美容診療の関心はより若い世代に広がり、SNSに触れている時間が長いほど容姿に執着するという統計結果も報告されている。30年近く美容医療を行ってきた医師は「患者獲得のために騙し合いみたいなものが横行し、そのイメージが広がっていくと、美容医療は胡散臭い、まがい物と誤解されることは嫌」と危機感を募らせる。

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中央区(東京)
800万円払った再生医療 治療後に知ったのは・・

自由診療は美容医療だけでなく、日本では未承認の薬、研究段階の治療法、再生医療も該当する。68歳の本間氏は5年前に脊髄を損傷し、治療を受けたものの胸から下が不随となった。幼馴染と日本をツーリングするという夢を果たしたいと、再生療法に一縷の望みを託した。約800万円を支払ったものの、症状は改善していない。クリニック側の「国に届け出ている」という説明を聞き、本間氏や家族は国のお墨付きを得ていると感じたという。取材班は再生医療の専門家、クリニックの院長とのやり取りが記された議事録を入手。専門家は治療法の効果に疑問を呈していたが、治療法は安全性、妥当性に問題はないと了承されていた。そもそも再生医療はほとんどが研究段階にあり、妥当性については「効かなくはない」というニュアンスが適しているという。

本間氏がクリニックから受け取った同意文書には「個人差があり、効果が認められない可能性、期待したほどの効果が得られない可能性がある」と記されていた。本間氏の長男は治療法について詳しい説明を求めると、「守秘義務が・・・」などと返答されたという。今回の取材で本間氏らは審査で治療法の効果に疑問が呈されていたことを初めて知った。当番組ではクリニック側に取材を申し込んだが、「辞退させていただく」と回答された。

自由診療の再生医療 国の制度 患者に誤解?

再生医療を審査する制度が患者の誤解につながりかねない状況について、国は5月以降、ルールを改正し、審査の場で治療法の効果の見込みをより詳しく議論するよう求めるとしている。

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厚生労働省国立がん研究センター
患者の声が消えていく 埋もれる実態

20代の美咲さんは美容医療を受けた後、呼吸が苦しくなった体験談をネットの口コミに書き込むと、クリニックの顧問弁護士から「風評被害を受けている。このままだと、法的手続きをとる」と記された手紙を受け取った。美咲さんは投稿を消さざるを得なかった。美容クリニックの元社員は競争が過熱するなか、トラブルを表面化させないことが重要だったといい、利用者には自由診療だったことを強調し、納得させていたという。3月下旬、患者が適切な選択をできるよう医師たちが動き出した。日本再生医療学会は自由診療の再生医療のうち、学会が推奨する治療、機関を公表することを決めた。国は美容クリニックなどに安全管理の報告を義務付けるなど、対策強化に乗り出す方針。朝日林太郎医師は「患者の安全が第一という医療の原点に立ち返るべき」と指摘する。

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日本再生医療学会
(エンディング)
エンディング

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