新宮町の「新宮霊園」が2年前に造った前方後円墳型の墓。全長が53メートル、高さ3.5メートルと圧巻のスケール。天然芝が全体を覆い周囲には古墳時代にも墓の周りに埋められた埴輪が並べられている。新宮霊園・本田宏之経営室長は「当初の予定の3倍のスピードで初年度は特に申し込みしてもらっていて私達も正直驚いてる状況だった」と話す。本来の古墳は1人の権力者のために造られたとされているが、この古墳型墓地は違う。大きな古墳型の墓の中に複数の遺骨が埋葬される合同墓の形で3100区画用意されている。価格は1区画28万円、別途永久管理費7万7000円が必要だが、霊園が月1回の合同法要を行うなど永久的に墓を管理してくれる。当初は年間300人分を目標に区画の販売を始めたが、1年で予想の3倍にあたる900人分の契約が成立。現在全区画の半分を超える1700件が申し込み済みだという。この古墳墓、遺骨の埋葬方法も変わっている。通常は骨壺に埋葬するが土にかえるということをテーマに袋に骨を移し直して袋ごとに埋葬する。遺骨は100年単位の長い時間をかけて土に還るということで骨壺も選べるが袋を選ぶ人が圧倒的に多いという。現在約1000人が眠る古墳墓。平日でも多くの人が墓参りに訪れる。取材に訪れた日にも2組の納骨が行われた。新規の申し込みに加えて霊園内にある一般的な墓からの引っ越し「改葬」まで。あまりの人気ぶりに同業者が毎月のように視察に訪れている。墓石も手がける仏壇仏具大手の「はせがわ」が実施した調査によると、ここ5年で購入された墓の数では霊園などが管理を行う永代供養墓が一般的な墓を上回った。また墓を購入しようとする人の9割近くが永代供養墓を検討しているのに対し、一般的な墓は5割を下回ったという。新宮霊園でも古墳墓と同じく人気なのが庭園型の樹木葬エリア。緑に囲まれた先には玄界灘も一望できる気持ちのいいロケーションにプレート型など小ぶりの墓石が並んでいる。そして墓石の周りを彩る花はもちろん霊園が手入れしている。超高齢社会の日本。核家族化の進展も相まって墓や墓参りの形も変わってきているよう。