福井・勝山市でまず訪ねたのは、老舗の繊維会社が地元で開いたお店。色とりどりのスカーフが並んでいた。早速気に入った1枚に試着させてもらった。店主の笠川さんの実家は、明治時代から続く繊維会社。去年自社製品のスカーフをリニューアルし、勝山らしさを込めた絵柄をあしらうことにした。恐竜などイメージしたデザインなどが紹介された。勝山市は明治時代のはじめから機織りの工場がつくられ、今も約70の繊維関連の事業所がある。「はたや記念館 ゆめおーれ勝山」を訪ねた。30年ほど前まで操業していた機織り工場を活用したミュージアム。勝山の繊維産業について学べる。ここで気になったのは織子さん。織子さんとは、工場で機織りをする女性たちで、もっとも多いときは勝山で約4000人が働いていた。施設には、元織子さんが常駐している。松原さんは15歳のときから半世紀にわたって働いてきた。子どもが生まれても働きやすいように、繊維会社がそれぞれにつくった託児所。いまでの4件がこども園として残っている。最後に訪ねたのは、絹織物を明治時代から作り続けている工場。社長の東野さん。大正8年に建設された国の近代化産業遺産にも認定されている貴重な建造物。予約制で見学することもできる。光沢となめらかさが特徴の絹織物「羽二重」。高級感を生み出す秘密は織り方。羽二重は細い2本の縦糸で織ることでしなやかになる。そして、織る前には水で濡らしている。濡らすことで繊維が引き締まり、なめらかな生地になるのだそう。さらに、絹糸は乾燥すると切れやすくなるため、機織り機の近くに常に加湿器をつけている。外でも地下水を組み上げて屋根に流している工夫が施されていた。明治時代には、50軒ほどあった勝山の羽二重工場。今では市内にこの1軒のみになった。
住所: 福井県勝山市昭和町1-7-40
URL: http://www.city.katsuyama.fukui.jp/hataya/
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