4月から時間外労働の規制が強化され、人手不足が深刻な物流業界だが、ドライバーが自分に合った働き方を選べるようにしたことで人材を確保できたという会社がある。愛知県みよし市にある運送会社では、ことしからドライバーの働き方に3つのコースを設定した。土日祝日休みで残業は極力なし“プライベート重視”のライト。残業は1日2時間程度まで“収入と生活の両立”を目指すバランス。時間外労働の上限規制範囲内で“しっかり稼ぐ”プロフェッショナルの3つ。6月から正社員として採用された森下晃さんが選んだのは、バランスコース。以前は自動車販売の営業で深夜まで働くことも多かった森下さん。今では趣味のランニングなど、自分の時間を持てるようになった。社長の柳川佑平さん(29歳)は、自身も宅配ドライバーとして長時間労働で苦労した経験から、6年前にこの会社を立ち上げた。まず取り組んだのが、運送業の長時間労働につながる課題の改善。運送業界は、荷主からの依頼がいくつもの会社を経由して届くピラミッド構造になっていることが多く、それが荷待ち時間の増加や低賃金の原因になっている。そこで、柳川社長は荷主にみずから営業を行うことで、仕事を直接受けることにこだわった。さらに、徹底した業務の効率化にも取り組んだ。出勤は指紋認証。その後、アルコールチェックをして、休憩や作業終了の時間はアプリで記録。会社に戻って運送日報を書く必要もない。選べる働き方を打ち出すと、応募は去年の10倍に増え200人ほどに。うち15人を正社員として採用した。運送業界ではほかにも、SNSをフルに活用して若い世代に情報を発信するなど、人材の確保に向けたさまざまな取り組みが行われている。