事務所とタレントのいびつな関係にはメディアにも責任の一端があると指摘する人がいる。元放送作家の鈴木おさむさん。今年3月長年、一緒に仕事をしてきたSMAPとの日々についてみずからの体験をもとにした小説を出版した。鈴木さんが記録として特に残したかったのが2016年1月18日の出来事だった。グループの解散報道が出ていた当時、メンバーが出演する番組内で解散を否定する会見の生放送が突如、決められた。鈴木さんは生放送に向けてテレビ局スタッフとともに会見の文面を作成していた。すると、放送直前、事務所から文面についての指示が下りてきた。そして、独立しようとしていたメンバーの1人が「社長に謝る機会をあるメンバーが作ってくれたおかげで今、僕らはここに立てています」という内容の発言をした。事務所の意向をメディアが過剰に受け止める構造。それがタレントだけでなく多くのファンを傷つけることになると鈴木さんは痛感している。