2024年10月25日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

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「推し活」の裏で…相次ぐ芸能事務所とタレントの契約トラブル

出演者
合原明子 
(オープニング)
きょうのテーマ

人々の間で広がる推し活。今、タレントと芸能事務所との間で契約をめぐるトラブルが相次いでいる。あるロックバンドは事務所からの独立後バンド名の使用や音楽活動が制限される事態に。問題の背景にメディアの存在があると指摘する声も。ファンを置き去りにしないタレントと事務所の関係はどうあるべきか考える。

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推し活
オープニング

オープニング映像。

「推し活」の裏で…相次ぐ芸能事務所とタレントの契約トラブル
タレントが事務所を訴えた 見えてきた芸能界の”オキテ”とは

今、コンサートやテレビ番組インターネット配信などでさまざまなタレントたちが活躍している。しかし、日本エンターテイナーライツ協会によると、タレントから法律相談を受けている団体の弁護士のもとには所属事務所に関する相談が少なくとも年間300件余り寄せられている。その多くが事務所から移籍、独立するにあたっての契約トラブル。トラブルの中には事務所と訴訟にまで発展したケースも出てきている。

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日本エンターテイナーライツ協会

ビジュアル系ロックバンドFEST VAINQUEURは2010年に大阪で結成された。会場全体の一体感を楽しめるライブパフォーマンスが人気を呼びファンを増やしてきた。しかし、活動開始から5年程たった時、所属事務所と不協和音が生じ始める。活動の成果に見合った報酬にしてほしいと事務所に交渉したが受け入れられなかった。そこで、メンバーたちは事務所から独立し新たな活動を始めようと決意。しかし、事務所側は音楽関係者にバンドと公演を行わないよう求めメンバーたちの活動を制限しようとした。一方、事務所の主張はバンド名の権利は事務所にあり契約終了後、6か月間は承諾なしに活動ができないと契約書に書かれているというものだった。なぜ芸能事務所はタレントの独立に対してその後の活動を制限するのか。ある芸能事務所の社長が匿名を条件に取材に応じた。事務所はタレントに人気が出るか分からない中、育成のため多額の投資を行っている。安易な独立が横行すれば業界の秩序が乱れてしまうため厳しく対応する必要があるという。バンド名を使えず活動を制限されたFEST VAINQUEUR。メンバーたちは悩んだ末、事務所の対応について裁判所に訴えることにした。メンバーの代理人を務めたレイ法律事務所・佐藤大和弁護士はこれまでタレントから1000件以上の移籍、独立などに関する相談を受けてきた。注目したのはバンドのメンバーが活動を始める時、事務所と交わしていた契約書の内容。今回、争点となったのは契約終了後にバンド名の使用権が事務所とバンドのどちらにあるか。そして、契約終了後に一定期間、活動を制限する契約条項が有効か無効かという点だった。バンド名と自由な音楽活動を取り戻してほしいとファンたちも動き始めた。ネット上で行われた署名活動。裁判所に証拠として提出されることとなった。迎えた司法の判断、バンド側の申し立てに対し事務所はバンド名を使用することを妨害してはならないと決定した。争点となったバンド名の使用権はメンバーにあるとした。ファンがグループ名からメンバーを容易に想起する場合、客を引き付ける力はメンバーに認めるのが相当だと判断した。活動の制限によって権利を侵害されたと訴えた裁判ではバンド側の主張を認める判決が下された。契約書にある一定期間の活動を制限する条項については公序良俗に違反し無効とされた。

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FEST VAINQUEURGLORIA~栄光のキズナ~オリコンレイ法律事務所大阪府
芸能界の”オキテ”はなぜ? タレントと事務所の契約トラブル

タレントと事務所の契約トラブルの実態や要因について。芸能界で働く人の当事者団体代表で自身も俳優活動を行う森崎めぐみさん、長く芸能界を取材してきたジャーナリストの松谷創一郎さんと伝えていく。芸能界の課題として文化庁の調べでは業務委託書は12%しかない。タレントを守る法律がない。ルールがないという状況に慣れすぎてしまっている。事務所とタレントの移籍、独立を巡る問題は国も問題視し始めている。

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文化庁
国も動き出した タレントと芸能事務所の問題

芸能界での契約の実態調査を行っている公正取引委員会・取引調査室長・片岡克俊さんがNHKの取材に応じた。事務所とタレントの問題に踏み込んだのは5年前、旧ジャニーズ事務所を巡る出来事だった。国民的アイドルグループだったSMAP。2016年に解散し元メンバー3人は事務所から独立していた。公正取引委員会は旧ジャニーズ事務所がテレビ局などに対し元メンバーの3人を出演させないよう圧力をかけていた疑いがあるとして調査。3人の所属する事務所の活動を不当に妨害する取引妨害など独占禁止法違反につながるおそれがあると注意した。

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SMAPジャニーズ事務所公正取引委員会
鈴木おさむさんが語る”あの会見”とメディアへの思い

事務所とタレントのいびつな関係にはメディアにも責任の一端があると指摘する人がいる。元放送作家の鈴木おさむさん。今年3月長年、一緒に仕事をしてきたSMAPとの日々についてみずからの体験をもとにした小説を出版した。鈴木さんが記録として特に残したかったのが2016年1月18日の出来事だった。グループの解散報道が出ていた当時、メンバーが出演する番組内で解散を否定する会見の生放送が突如、決められた。鈴木さんは生放送に向けてテレビ局スタッフとともに会見の文面を作成していた。すると、放送直前、事務所から文面についての指示が下りてきた。そして、独立しようとしていたメンバーの1人が「社長に謝る機会をあるメンバーが作ってくれたおかげで今、僕らはここに立てています」という内容の発言をした。事務所の意向をメディアが過剰に受け止める構造。それがタレントだけでなく多くのファンを傷つけることになると鈴木さんは痛感している。

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SMAPもう明日が待っている
国も動き出した タレントと芸能事務所の問題

公正取引委員会は現在、芸能事務所全般に対しタレントへの問題行為がないかなど実態調査を行っている。年内をめどに報告書を出し今後、ガイドラインを作成するとしている。

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公正取引委員会
芸能界の”オキテ”はどうあるべき? タレントと事務所の契約トラブル

森崎めぐみさんこれまでも芸能界の問題について国の検討会などに参加して議論を行っている。森崎めぐみらは「(国の動きについて)非常に画期的であるとは評価してるんですけども、課題としては実態に沿ったものになるのかというのは課題なのかなと」などと話した。

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SMAPジャニーズ事務所

こらから芸能事務所はどうあるべきか、多くの事務所が加盟する国内最大の業界団体日本音楽事業者協会・専務理事・中井秀範さんに聞いた。中井秀範さんは「基本的には(タレントと事務所は)五分五分ということが大事だと思っている」などと話した。

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日本音楽事業者協会

森崎めぐみら出演者によるスタジオトーク。森崎めぐみは「芸能界とか文化芸術分野っていいところもたくさんあると思いますので、例えば徒弟制度とか、今の時代にあってないところもあるかもしれないですけども、きちんと弟子と師匠の関係がいい関係だったとか、きちんと受け継がれていくっていうそういった良い側面があったと思うんです」「良いルール作りができたらいいなと思っています」などと話した。

(エンディング)
エンディング

合原明子によるエンディングの挨拶。

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