日本時間の午前10時から、米国のハリス副大統領とトランプ前大統領による初めてのテレビ討論会が行われる。2人の経済政策にも注目。日本に直接関わるところでは、関税がある。トランプ氏は、国内の生産拠点を守るためとして、日本を含む全世界からの輸入に10%の関税をかけるとしている。そして7月には中国の自動車を念頭に、1台あたり100%〜200%の関税を課すとも発言している。ハリス氏は、そうした追加の課税は、結局は米国国民の負担になるとして反対している。ただ、対中国に関しては、ハリス氏も厳しい姿勢を維持するとみられている。また、トランプ氏のイメージとして持たれがちな保護主義だが、実はハリス氏も保護主義的な姿勢を強めているという指摘がある。ハリス氏が力を入れる政策の1つが労働者保護。それを象徴するのが「(日本製鉄が買収を計画する)USスチールは歴史ある米国企業だ。USスチールは米国国内で所有され運営される企業であり続けるべきだ」との発言。日本製鉄による買収計画に反対する労働組合へのアピールという側面もあるが、米国が国として保護主義に傾いていることを懸念する専門家もいる。みずほリサーチ&テクノロジーズ・小野亮プリンシパルは「(トランプ氏、ハリス氏)どちらも労働者保護でお金を使いたい、国内の労働者を保護する意味では結局共通点がある。保護主義的な姿勢というのがハリスさんになると非常に強まる恐れがある」と述べた。その上で小野氏は、今の米国は日米貿易摩擦が激しかった1980年代〜90年代の雰囲気に近いという。「今は(対象が)中国ということで変わってはいるが、中国以外の国にも影響が及ぶ、矛先が向けられるリスクがある点でいうと、ちょっと嫌な雰囲気はある」と述べた。