暴走する温暖化のメカニズムを、他の惑星から学ぼうという動きが始まっている。新たに任命されたNASAのネルソン長官は、約半世紀ぶりに、金星に探査機を送り込むプロジェクトを発表した。生命を育む環境がかつて金星にもあったのか、それを明らかにするのが目的となる。金星は地球や火星と同じ岩石で出来た惑星で、太陽系の中で地球と最も近い惑星だが、表面は摂氏460度の灼熱地獄となっている。金星がホットハウスヴィーナスであることが初めてわかったのは、1960年代のマリナー計画による一連の探査だった。それにより、地球の100倍近い分厚い大気で覆われており、その95%以上が二酸化炭素だった。NASAの惑星探査に大きく関わった学者のカール・セーガンは、金星で起こった暴走的な温暖化が地球にも起こる、いわば警告ではないかと考えたという。その一方で、NASAエイムズ研究センターのクリス・マッケイ博士は、暴走的な温暖化を人為的に起こせば不毛の惑星を緑あふれる環境にすることもできるという型破りなアイディアを提唱している。火星はある意味金星とは正反対の惑星で、大気のほとんどが二酸化炭素だが、地球の100分の1ほどしかないという。大気が極端に薄いため、太陽から届いた熱を閉じ込めることができず、表面の温度は摂氏-60度を下回っている。その火星で、温室効果ガスを人工的に排出し、地球から生命を持ち込み緑あふれる惑星に変えるという。また、地球では、大気を大規模に操作し温暖化を食い止める方法が研究されている。地球に降り注ぐ太陽のエネルギーをコントロールする「ジオエンジニアリング」には、地域によって降水量が変化するなどの予期せぬ副反応も指摘されており、マッケイ博士は問題を根本的に解決するまでの時間稼ぎに過ぎないと指摘している。
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