会社員だった藤島さんは、4年ほど前に突然ネクタイが締められなくなった。仕事のミスが続いて会社を辞めざるを得なくなり、病院でアルツハイマー型認知症と診断された。アルツハイマー病の新薬ドナネマブを使った治療によって、症状の進行を通常よりも抑えられていた。アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβとタウという異常なたんぱく質が蓄積することで神経細胞が死んでいく病気で、新薬はアミロイドβを取り除くことで重度になるまでの期間を3年ほど遅らせることができる。アロイス・アルツハイマー博士が1906年に最初の症例を報告し、1980年代半ばに脳内に蓄積する物質の正体が判明した。薬の開発は難航したが、30年以上を経て新薬が誕生した。
