歴史的な政権交代を実現したスターマー政権が誕生してからわずか2年。なぜ今バーナム氏を推す声が広がっているのか。イギリスでは近年首相が短期間で交代している。その理由は、首相の素質や手腕だけでなく、EU離脱後の混乱や経済の低迷などもあり、有権者の支持を政党が維持できなくなっている現状があるという。スターマー氏は、ロンドン中心のテクノクラートの政治家と見られていたのに対し、バーナム氏は北部イングランドの現場感覚を持つ政治家として人気を築いてきた背景がある。こうした中で、マンチェスター市長を約9年務めたバーナム氏が掲げる政治理念「マンチェスター主義」ということで今注目を集めている。マンチェスター主義とは、地方への権限の移譲や官民の協力など地方都市を国の成長エンジンにしようという考え方で、特に労働者層が支持。イギリス政治は長いこと労働党と保守党の2大政党が主導してきたが、近年は右派政党のリフォームUKが支持を伸ばしている。反移民や反エリート、半中央政治を掲げ、労働党の伝統的な支持層である労働者層からの支持が広がっている。このため新たに就任する労働党の党首の最大の任務は、このリフォームUKに流れた支持を取り戻すことだとも指摘されている。そのうえで注目したいのが、バーナム氏が立候補後に発信したガザについての発言。労働党の従来の対応を批判し、イスラエルに対してより厳しい姿勢で臨むことを明確にした内容で、党首への就任が確実視されたと伝えられた後の発信だった。このためスターマー政権との違いを示すことや、ガザ情勢の対応で離れた左派やイスラム系の有権者との関係を修復することなど、新政権の独自色を打ち出す最初の政治的メッセージだという受け止めだと広がっている。
