パキスタンは、国民のおよそ97%がイスラム教徒でお酒を飲むことも買うことも禁じられている禁酒の国。しかし、一定の条件のもとでお酒を購入できるイスラム教徒以外の人たちや外国人向けに160年以上前からビールを製造する会社がある。操業開始はイギリス統治下の1860年、当時駐留していたイギリス兵向けにビールを造ったのがきっかけだった。敷地内には、今も当時の建物の一部が残されている。製造されるビールは苦みが少なくフルーティーな味わいが特徴。水は、ヒマラヤ山脈からの豊富な地下水を使用。大麦はオーストラリア産と原料にこだわっている。完成したビールは温度や炭酸の状況などを細かくチェック。品質管理を徹底することで創業から160年以上たった今でも当時の味を守り続けている。政府が、およそ半世紀ぶりに輸出を再開した背景には、国内で厳しい経済状況が続く中、輸出の拡大で外貨獲得を進めたいねらいがある。会社では、すでに海外市場の反応を探るため日本、イギリス、ポルトガルの3か国にサンプルを輸出。その他にもアメリカなど複数の国から問い合わせがきていて手応えを感じている。禁酒の国から海外市場をねらうパキスタンのビールが新たな名産品になれるか注目される。ちなみに日本でいつから正式に販売が開始されるかは決まっていないが、取材したイスラマバード支局長の太田佑介によると「苦みが少なくすっきりと飲みやすい」という。
