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「ウクライナ国立歌劇場」 のテレビ露出情報

ウクライナの首都キーウにあるウクライナ国立歌劇場は戦火の中にある今も観衆を集め続けている。バレエの公演が行なわれたこの日も満席だった。ウクライナ国立バレエの芸術監督を務める寺田宜弘(47歳)は客席から気になった点をスタッフに伝えていた。ウクライナ国立バレエは160年の歴史を持つ旧ソ連3大バレエの1つで来日公演も多いが、芸術監督が日本人であることを知る人は少ない。講演後の寺田はスタッフをなだめ、ダンサーたちをねぎらう。優れたパフォーマンスには惜しみない賛辞を送るのでダンサーたちからも慕われている。劇場への出勤は毎朝10時。芸術監督の仕事は多岐にわたる。このバレエ団で15年あまりソリストとして活躍した輝かしい実績があることも団員から信頼される理由。芸術監督に任命されたのはロシアによる軍事侵攻が始まった10か月後。多くの団員が国外に逃れた中、寺田は若手のスカウトに奔走してバレエ団の建て直しに尽力した。団員は一時20人ほどまでに激減したが、今は109人がレッスンに励んでいる。ダニール・パスチューク(24)は去年春に入団したソリスト。父は戦場で戦っている。カテリーナ・ギゼリ(24)も将来を期待されるダンサー。父は激戦地バフムトに送られ亡くなったという。
寺田はキーウに暮らして36年。ソ連崩壊やクリミア併合を目の当たりにしてきた。自宅近くの有名な公園にはミサイルが2つ落ちたという。物価が上がったかよく聞かれるがあまり気にしないらしい。ウクライナ人の妻は出張中だった。料理は好きで毎日している。子どもの時から好きだというスター・ウォーズのグッズがあった。寺田は1976年にバレエ教室を営む家に生まれた。7歳でウクライナの土を踏み11歳で留学して第二の故郷となった。軍事侵攻直後はミュンヘンに逃れたが、7か月で戻って来た。ウクライナ人でも戻ってこないのに、日本人が戻ってきてくれて本当にうれしい、ありがとうと言われた時は本当に戻ってきて良かったと思ったと語った。
寺田はできる限りレッスンに立ち会ってクオリティを高めていく。中でも日本公演に向けて磨き上げていたのがバレエファンに馴染みが深い「ジゼル」。寺田が抜擢したカテリーナ・ミクルーハ(20)がジゼルを演じる。彼女にとって寺田はバレエ学校の恩師でもあった。今は劇場に近いアパートに一人暮らし。オランダのバレエ団で踊っていた。将来はヨーロッパの他の国へ行きたいが、ウクライナで必要なスキルを身につけて国内外で踊れるようになりたいという。期待のあらわれか指導責任者から厳しい言葉が飛んだ。去年12月の日本公演で準備されたプログラムは3つ。年末まではオリジナル作品「雪の女王」が上演され、ミクルーハもソリストとして見せ場があったが、右足を痛めてしまった。寺田の決断でジゼルはベテランに交代となった。

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