SNS上では宗教宗派を問わず様々な当事者たちが自らを“宗教2世と名乗るようになり、支援団体が相次いで発足した。当事者からの訴えが特に多いのがエホバの証人。体罰や子どもへの輸血拒否などをめぐって児童虐待にあたる可能性が指摘され、国は教団に事実確認を行った。エホバの証人2世のゴンさんは10歳のときに母親の信仰の強さを目の当たりにした。母は教えに反して煙草を吸って排斥扱いになったことを理由に当時17歳だった兄を家から追い出した。教えでは排斥された人とは交流を避けるべきとされていた。1度だけ兄が家を訪ねてきたことがあるが、母が受け入れることはなかった。後に兄は自ら命を絶った。ゴンさんは20歳のときに宗教を離れることを決意したが、親子の縁までは断ち切れなかった。ゴンさんが35歳のときに母が病に倒れた。命を救うには輸血が必要だったが、母は教えに従って輸血を拒否していた。ゴンさんは輸血をしてほしいと言いたかったが、母の40年間がなくなってしまうと悩み母の意思を尊重することにした。ゴンさんは亡くなるまで「宗教に戻ってほしい」と母から送られ続けていた手紙をしまっているが、一生開けられないかもしれないと話した。宗教2世について、同志社大学神学部の小原教授は「孤立していた1人2人3人4人が共通のプラットホームを得た、そういう語りの場を与えたのが宗教2世という言葉だと考えるならば宗教2世といってもいろいろな背景や悩みの深さも違うことに光を当てていく必要がある」などと指摘した。