手紙を受け取った被害者遺族の假谷実の父親の清志は、1995年2月にオウム真理教に拉致され死亡。手紙の差出人は、その事件で逮捕監禁の罪に問われ、実刑が確定した元信者の1人だった。その後もやり取りが続き、届いた数は10年で28通に上った。丁寧な文字や謝罪の言葉から元信者が心から反省しているのではないか、と感じるようになった。被害者が示談金の約束をし刑期を終えたあとも、欠かすことなく続けてきた。假谷は毎月の振り込みが通帳に書き加えられるたびに、元信者が罪に向き合っているように思えた。まだ支払われていなかった200万円余りは免除することにした。