ケニアのマサイマラ国立保護区では5頭のチーターの若いオスたちが群れになっていた。チーターが5頭もの群れを作るのは珍しいことだという。群れの結成には肉食動物の保護活動が成功したことが背景にあるという。群れのリーダーだったオルパダンは気に入らなっことがある度に仲間に手を出す乱暴者だった。5頭の糞を調べた結果、オルパダンにだけ血縁関係がなかった。唯一血の繋がりがなかったので力で群れをまとめようとしていたのではないかという。2020年、オルパダンは抗争に敗北しリーダーの座から引きずり落とされていた。この争いでオルパダンは足の付根に大きな傷を負った。
オルパダンは傷ついた足では力づくの狩りに参加できなかった。ある日、オルパダンは群れからはぐれてしまった。かつてオルパダンに乱暴されていた群れの仲間はオルパダンを探しに来た。オルパダンは暴力癖がなおらず新リーダーのウィンダにたしなめられていた。2021年7月、衰弱しきったオルパダンに獣医が応急処置をした。右目の視力は7割近く失われた。オルパダンは親元を離れたオスをパートナーとして新しい群れを作ろうとしたので他の4頭は群れの敵と判断したようだ。