標高3000mの山々が連なる南アルプス国立公園の険しい斜面で作業をしているのは、環境省の職員。“自然保護のスペシャリスト”の環境省・南アルプス自然保護官事務所・自然保護官・藤田和也さん(44歳)は「ここはニホンジカから高山植物が食べられないように(柵と)設置している場所になります。(雪が積もる)冬を前に(つぶれないよう)ネットを外す作業をしています」と話し、南アルプスでは今、ニホンジカによる食害が深刻化している。高山植物が食べられることで山が崩れ、生態系の崩壊につながってしまうため、藤田さんたちは日々、山に登り、野生動物の監視や植物の保護などを行っている。シカの生息域をチェックするセンサーカメラの映像を見ると、ニホンジカの姿がしっかりと捉えられていた。藤田さんは「雪解けがだんだん早くなってくると、シカが映るタイミングも早くなる。そういうデータを見ながら、柵を立てるタイミングをもっと早めないと」と話す。藤田さんは大学卒業後、働いていた山小屋で自然の美しさに魅了され、“日本の自然を守る仕事がしたい”と環境省に入省し、自然保護官として18年間、日本各地の国立公園を守ってきた。藤田さんは「(自然保護官として目指すことは)日本は自然に恵まれた国なので、これから生まれてくる人たちのためにも、この自然を残していきたい」と話す。