ストリートダンスの一種、ブレイキンは若者に絶大な人気があり、競技人口は野球、サッカーを上回ると言われている。パリ五輪では新競技として採用された。会場でDJが音楽をかけるが、選手はステージに立つまで分からず、メロディー、リズムに合わせて即興で技を繰り出すかが問われる。加えて、独創性を組み入れる必要がある。遡ること1970年代初期、ニューヨーク・サウスブロンクスでは強盗、殺人、ギャング同士の抗争が激化。ギャングのアフリカ・バンバータは「ダンスでの決着」を提案したという。83年に上映された「フラッシュダンス」では子供たちが続々とブレイキンを踊り、伝説の73秒と言われる。日本でも一大ブームとなり、全国規模の大会が開かれるように。
2018年、ユースオリンピックのブレイキンを見ようと連日9万人が観戦に訪れたという。日本は女子で金メダル、男子で銅メダルを獲得した。パリ五輪で注目される選手に日本のShigekixやAmi、カナダのフィル・ウィザード、フランスのダニー、リトアニアのNickaがいる。ブレイキンの見どころにテクニックがあり、トップロックは一種の自己紹介。対戦相手の挑発もある。足技であるフットワークのポイントは軽やかなステップで、激しい動きを止めて体をとめるのがフリーズ。また、選手たちの個性あふれるファッション、対戦相手の動きにも注目すべき。ハンドサインのトゥワイスは「同じ技を繰り返している」、バイトは「人の技の模倣」を意味する。そして、バトルが終わればハグ、握手を交わしたりする。岡山県の小学校では体育の授業でブレイキンを導入していて、称え合い、リスペクトし合うカルチャーは共生にマッチしていると考える。