北海道の風蓮湖は、オホーツク海に沿って細長い砂州が伸びる湖で周囲はおよそ96km。淡水と海水が混ざる汽水湖である。2月、湖面の大部分は氷で閉ざされていた。猛吹雪が吹き荒れる中、湖に接した森の奥でエゾシカを発見した。夕方、凍った湖の上をエゾシカが歩いていた。風蓮湖は時間が経つと、塩の満ち引きの影響を受けて氷が浮き上がる。氷が割れて現れた水面には鳥たちが集まっていた。
3月、湖を覆っていた氷が溶け始めた。生き物たちの動きは活発になり、ベニヒワは雪が溶けた地面で植物の種などを食べていた。干潟ではタンチョウが食べ物を探していた。多くの氷が溶け流氷が流れる中、ある流氷の上をエゾシカが乗っていた。歩いているうちに氷ごと流されてしまったようだった。またある時は、エゾシカが薄くなった氷の上を歩いていて氷が割れて湖に落ちることもあった。ある日、湖畔で命を落としたエゾシカを見つけた。そこにやってきたのはオオワシ。エゾシカのこうした死がまた別の命を支えている。